記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/5 記事改定日: 2019/7/2
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
膀胱腫瘍を発症した後、治療のために人工膀胱(ストーマ)を作ることがあります。この記事では、どのような場合に人工膀胱を作るかとともに、人工膀胱の管理方法について解説します。
人工膀胱は、膀胱腫瘍などの病気の治療で膀胱を摘出したときに使います。
膀胱は尿を溜めておいて排泄する働きがありますが、摘出後は人工膀胱が代わってこの役割を担うことになります。
膀胱と違うのは、尿管を皮膚の上に露出させ、そこに袋をつけて尿を溜めていく点であり、
排尿コントロールをできるわけではないということです。
腎臓で作られた尿がその都度たまっていき、一杯になったらトイレで捨てます。
尿管が直接皮膚の外に出ているため痛そうに見えるかもしれませんが、触っても痛みはありません。また、人工膀胱の内側から圧力がかかっているので、外から水が入ることもありません。
膀胱腫瘍は膀胱に腫瘍ができる病気ですが、腫瘍が筋層まで湿潤していない状態のものと、腫瘍が筋層まで湿潤している状態のものとに大きく分けられます。
膀胱腫瘍ができると、腫瘍ができている部分に炎症が起こるため、血尿や頻尿、排尿時痛といった症状があらわれます。症状があらわれやすいので、初期の段階で見つかりやすい病気です。
膀胱腫瘍ができる最大の原因は喫煙とされていますが、ゴム、皮革、織物や色素工場で使用されるアニリン色素、ナフチラミンやベンチジンなどの染料に慢性的に触れていることも発症に関係していると考えられています。
食べ物ではワラビやゼンマイ、医薬品では抗がん剤のシクロホスファミド、フェナセチンなどが原因となることがあります。
人工膀胱を造設している人は定期的な交換と日常の管理さえ適切に行われていれば、日常生活が大きく制限されることは殆どありません。
まず、人工膀胱の人が気にするのが入浴ですが、尿を溜めるパウチは耐水性ですので装着した状態で入浴することが可能ですし、密着性も高いため湯船につかってもお湯が人工膀胱内に入り込んでしまうことはありません。また、温泉などの入浴施設を利用する場合には周囲から目立ちにくい肌色のパウチを装着して小さく折りたためば特に問題となることはないでしょう。
当然ながら、定期的にパウチ内に溜まった尿をトイレで廃棄すれば通常と変わりない生活を送ることができますので仕事や学業に支障を来たすこともありません。ただし、激しい運動をするとパウチがずれてしまうことがあるので注意しましょう。
また、日頃から人工膀胱周囲の皮膚の荒れなどには十分注意し、かぶれや痛みなどがあるときはできるだけ早く病院に相談しましょう。
人工膀胱は、膀胱腫瘍が原因で膀胱を全摘出した場合に取り付けるもので、膀胱の代わりに尿を溜める働きを担います。
尿が排出されるたびに専用の袋に溜まっていくため、排尿コントロールはできなくなりますが、袋を着けたまま入浴できますし、人工膀胱を圧迫しなければどんな洋服を着ても大丈夫です。