治療薬、手術・・・ジストニアの治療法を解説します

2018/3/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

意図せずに筋肉が動いてしまう、神経疾患「ジストニア」。このジストニアの治療法には、どんな種類があるのでしょうか。薬物療法や手術など、一般的な治療法をご紹介していきます。

ジストニアはどんな病気?

ジストニアとは、脳神経から異常な信号が出ることによって、筋肉が本人の意思にかかわりなく動いてしまう病気です。全身の筋肉に異常が起きる場合(全身性ジストニア)と、局所的に硬直や痙攣が見られる場合(局所ジストニア)に分けられます。さらに原因不明の本態性ジストニアと、脳卒中の後遺症や薬物の副作用など他に原因がある二次性ジストニアに分けることもできます。本態性ジストニアのうち、遺伝子の異常によるものは遺伝性ジストニアと呼ばれ、患者数は少ないものの難病に指定されています。

ジストニアの症状が出るパターンは決まっていて、特定の行動をとったときに特定の異常が発生するのが一般的です。楽器を演奏したり字を書いたりしたときに症状が現れることが多く、これらは職業性ジストニアと呼ばれています。そのほか目が開かなくなったり、首が勝手に曲がってしまったり、声が出なくなったりするなどの症状があります。一般に朝のうちは症状が出にくく、昼から夜にかけて悪化するのが特徴です。

ジストニアの薬物療法、ボツリヌス毒素療法について

ジストニアの代表的な治療法としては、薬物療法やボツリヌス毒素療法が挙げられます。

薬物療法の目的は症状を軽くすることであり、根治させる治療法ではありません。有効性は必ずしも高くなく、副作用が出る場合もあるので、効果を見ながら慎重に使用する必要があります。

薬物療法では、神経の過剰反応を抑える作用のある抗コリン薬がよく用いられます。ただし、高齢者の場合は認知機能が衰える副作用に注意が必要です。ほかには、精神の緊張を和らげる抗精神病薬や抗不安薬も使用されることがあります。心因性のジストニアには抗うつ薬を使った治療法が試されることもあります。

一方、ボツリヌス毒素療法は痙攣が起きている筋肉に直接注射をして、局所的な症状を緩和する治療法です。ボツリヌス毒素は神経伝達を阻害し、筋肉の緊張を弛める効果があります。全身の症状には使えませんが効果は高く、痛みを抑制する作用も期待できます。ボツリヌス毒素を一度注射すると、効果は3~4か月ぐらい続きます。

外科治療について

ジストニアの外科的治療法として、定位手術が行われる場合もあります。脳のどの部分をどんな方法で手術するかによって、視床凝固術・視床刺激療法・淡蒼球(たんそうきゅう)刺激療法などの術式に分けることが可能です。

視床凝固術は脳の深部に細い電極を入れ、約70度の熱で患部を凝固させる治療法です。部分的な症状に効果的で、一度の手術で治療が終わるというメリットがあります。

視床刺激療法は脳の深部に小さな電極を埋め込み、電気ショックで症状を改善する治療法です。組織を破壊しないので副作用が小さい反面、機械が故障したりバッテリーが切れたときは交換手術が必要です。

そして広範囲の症状には淡蒼球刺激療法が有効とされています。

定位手術の有効性は個人差がありますが、一般に発病してから早めに手術するほど、改善効果が高い傾向にあります。また刺激療法の場合は姿勢や肢位の異常が改善されるまで、数週間~数か月ほどの時間が必要な場合もあります。

おわりに:ジストニアの症状に合った治療を

ジストニアにはさまざまな種類があり、症状にも個人差があるため、適した治療法は異なります。自身の症状や年齢に合った治療を選択することが大切です。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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