記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ラーメンや鍋など、温かい食べ物を食べたときに鼻水が出たことはありませんか?では、どういったメカニズムで鼻水が出るのでしょうか?その理由をわかりやすく解説していきます。
一日の間に、私たちの身体からは1.5Lもの鼻水が出ています。
鼻水の主な役割は、「細菌や花粉を追い出すこと」と「寒暖から粘膜を守ること」の2点です。例えば、風邪や花粉症になったとき、鼻水の量は急激に増えます。これは、白血球などの免疫細胞がヒスタミンを放出し、鼻水の分泌を促しているために起こるものです。また、外界の寒暖差から粘膜を守るためにも、鼻水が大きく役立っているのです。
ラーメンやうどん、鍋などの温かい食べ物を食べると鼻水が出やすくなる理由としては、次のことが考えられます。
ラジエーター作用とは、鼻水の気化熱で湯気を冷まそうとする作用のことです。私たちの体は、体内環境をできるだけ一定に保とうとしています。このため、暑い季節に汗をかいて体温を下げようとするように、鼻の中が熱いときは鼻水を出して熱を冷まそうとするのです。
ラーメンなどに含まれるコショウやトウガラシなどの香辛料によって、鼻水が出る場合もあります。身体のリラックス状態に作用する副交感神経は、鼻水の分泌量をコントロールしているのですが、辛いものを食べると舌と胃粘膜にある辛味センサーが反応して、交感神経と副交感神経が活性化します。すると、交感神経により発汗するのと同時に、副交感神経により唾液や鼻水が分泌されます。つまり、温かい食べ物を食べると鼻水が出るのは、香辛料が副交感神経に影響を与えていたからだったのです。
初夏や初冬などで気温の変化が大きな時期に、鼻水や咳が止まらず、頻繁な頭痛が起こる場合「寒暖差アレルギー」の可能性があります。寒暖差アレルギーは正式名称を「血管運動性鼻炎」と言い、寒暖差による自律神経の乱れによって引き起こされるものです。
寒暖差アレルギーの特徴としては、寒暖差の激しいときに咳やくしゃみがひどくなる一方で熱は出ない、気温の変化の大きい時期に鼻水や頭痛が起こるなどです。皮膚のかゆみやじんましん、食欲不振やイライラといった症状が現れる方もいます。
なお、寒暖差アレルギーに対しては、基本的に薬は処方されません。しかし、症状がひどく日常生活に支障が出る場合は、薬が処方されることがあります。
特にラジエーター作用については、「初めて知った」という方も多いのではないでしょうか?温かいものを食べたときには、健康な人でも鼻水が出るので心配いりませんが、寒暖差の大きいときの鼻水に加え、頭痛を伴うときは寒暖差アレルギーの可能性があります。まずはご自身の症状をしっかり見極めることが大切です。