歯が痛くないのに虫歯、ということはあり得る?

2018/3/19

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

「虫歯=痛い」というイメージをお持ちかと思いますが、実は、痛みがないのに虫歯が進行しているケースがあります。その具体例やリスクについて、以降でご紹介していきます。

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痛くなくても虫歯の可能性が!

たとえ痛くなくても、下記に該当する場合は虫歯の可能性があります。

歯の内部が黒く透けている

歯の内部が黒く透けているのは、そこで虫歯が広がっていることを表します。歯の表面はエナメル質で覆われていますが、虫歯によってエナメル質が溶かされると、歯の中の象牙質へと虫歯が広がっていき、黒く見えるようになります。歯の神経まで虫歯が達すると、痛みを生じるようになります。

大きな穴が開いている

通常、歯に大きな穴が空いていると痛みを感じます。しかし、虫歯が巨大化して神経まで達し、神経が死んでしまった場合は痛みを感じなくなります。放置すると顎の骨に細菌が侵入してしまうので、すぐに歯科を受診してください。

歯の根だけになっている

虫歯が進行しすぎると、根の一部だけ残ってしまうことがありますが、この場合も痛みを感じません。放置すれば、嚙み合わせがずれたり、顎が変形したりする恐れがあります。

金属の被せ物をしている歯

虫歯治療の際に金属の被せ物をすることがありますが、この金属が錆びると隙間から細菌が侵入して、痛みのないまま虫歯が発生・進行し、歯の神経が死んでしまうことがあります。歯茎から膿が出た場合は、虫歯が進行しているサインなので要注意です。

痛みがないからと虫歯を放置していると・・・

虫歯が進行すると、神経に虫歯が達して激痛に襲われます。痛み止めで緩和した後に、神経を抜く処置が必要になります。

また、顎に膿が溜まって歯茎が腫れ、飲食に支障が出るほど大きく腫れ上がることもあります。この場合は麻酔をした上で、歯茎を切って膿を出す必要があります。

他には、奥歯の根元から細菌感染して副鼻腔炎になることもあります。これは、上顎の奥歯が副鼻炎と隣接しているためです。副鼻腔炎の症状が悪化すれば、頭痛に発展します。

虫歯かもと思ったら、できるだけ早く治療することが大切

初期や軽度の虫歯であれば、軽く削るか削らずに完治するケースがあります。ただ、歯科に通わず放置していると、症状はどんどん悪化していき、最悪の場合は歯を失ったり、副鼻腔炎などの合併症を引き起こす恐れもあります。

また、治療費や治療期間も、虫歯が悪化すればするほど、負担が大きくなってしまいます。虫歯を発見したらすぐに歯科を受診し、治療を進めていきましょう。

おわりに:かかりつけの歯医者を定期受診しましょう

痛みのない虫歯でも、内部ではかなり進行している可能性があります。虫歯の早期発見が悪化を未然に防ぐことになります。初期症状で虫歯を見つけるため、定期的にかかりつけの歯医者を受診するようにしましょう。

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