歯周病(歯槽膿漏)の治療法を詳しく解説します

2018/2/16

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

歯茎の後退や出血、そして歯を失う原因にもなりうる「歯周病(歯槽膿漏)」。今回の記事ではこの歯周病の治療方法について、段階別に詳しく解説していきます。

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歯周病(歯槽膿漏)を放置しているとどうなるの?

歯周病は、歯茎から出血したり、膿が出たりする病気です。重度の歯周病に関しては、歯槽膿漏と呼ばれることもあります。

歯周病の症状としては、歯茎からの出血、歯茎からの膿、口臭、歯茎の後退などがあげられます。初期症状は、歯茎から少し血が出たり、歯茎がむずがゆくなったりという軽いものですが、放置して進行すると、歯の組織が壊されて骨が溶けてしまい、最終的には歯が抜けてしまいます。歯周病は自然に治る病気ではありません。進行すればするほど治療が難しくなり、治すのに時間がかかります。

歯周病の基本的な治療法

歯周病の基本的な治療法として、デブライドメントとレーザー治療があります。どちらも歯周病の原因である歯垢を取り除く治療法です。

デブライドメントとは、手動の器具や超音波を使って、歯周ポケットの内部にたまった歯垢を取り除く治療法です。歯周ポケットとは、歯と歯茎の間にできる隙間のことです。食事をすると、歯周ポケットに食べカスや歯周病の原因となる菌が入ります。それが歯垢となり歯周病を引き起こします。歯周ポケット内部の歯垢は自分ではなかなか取り除くことができないので、歯科での治療が必要です。

レーザー治療とは、レーザーの光や熱で歯周ポケット内の歯石を取り除き、歯周ポケット内に生息する細菌を死滅させる治療法です。超音波などの器具が届きにくい箇所を治療することができます。

重度の歯周病の治療法

歯周病が進行し、デブライドメントとレーザー治療だけでは治療が困難になってしまった場合にも、さまざまな治療法があります。

一つ目がフラップ手術です。フラップ手術とは、歯茎を切開し、歯茎の深くに付着している歯垢や歯石を取り除く治療法です。歯周病が奥深くまで進行してしまうと、治療機器が届かない場合があります。フラップ手術は、そんな奥深くに溜まった歯垢や歯石を取り除くために歯茎を切開し、目視で確認しながら除去していく治療法です。歯周病によって歯が長く見えるようになってしまった場合には、歯茎の再生治療を行います。

二つ目が、結合組織移植術です。上顎の奥歯の内側から歯茎を採取し、歯茎が下がっている部分に移植する治療法です。

三つ目が、骨移植です。歯周病が進行すると顎の骨が溶かされてしまいます。この溶かされた部分に自分の骨や人工の骨を移植する治療法が骨移植です。骨移植によって骨が作られると、歯茎が盛り上がるので、歯が磨きやすくなります。適切な歯磨きができれば、歯垢が溜まりにくくなり、歯周病のリスクを抑えることができます。

また、骨移植以外にも、歯周病によって溶けてしまった顎の骨や歯根膜などの歯周組織を再生させる治療法があります。エムドゲインです。エムドゲインは、「エムドゲイン®・ゲル」というタンパク質の一種を歯の根元に貼ることで、歯周組織の再生を促進します。

このほかにも、骨がなくなってしまった部分に「メンブレン」という人工膜を挿入することで、歯周組織の再生を促進するGTRという治療法もあります。

おわりに:歯周病は放置せずに早めに病院へ

歯周病の治療法は、歯周病の原因となる歯垢や歯石を取り除くものと、歯周病によって溶けてしまった骨や壊された歯周組織を再生させるものに分けられます。放置すればするほど治療が難しくなったり、大掛かりな治療が必要になるので、歯周病の疑いがあれば早めに歯科医院を受診しましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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