トキソプラズマ症、オウム病などの動物由来感染症を予防するには?

2018/3/13 記事改定日: 2019/4/8
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

猫や犬などのペットを飼っている方は特に注意していただきたいのが、トキソプラズマ症などの「動物由来感染症」です。今回の記事では代表的な動物由来感染症の種類と、予防法をご紹介していきます。

代表的な動物由来感染症(ペット感染症)

動物由来感染症とは、動物から人間へ移る感染症のことで、「人獣共通感染症」や「ペット感染症」などと呼ばれることもあります。

感染ルートとしては、感染源となる動物に触れたり傷つけられることで感染する「直接伝播」と、何らかの媒介を経て感染する「間接伝播」があります。

特に「間接伝播」は、蚊など他の動物による媒介の他、感染源によって汚染された水や土などを介した環境媒介、加工された感染源を食べることによる食品媒介に分けられます。

以下に代表的な7つの動物由来感染症について、それぞれご説明していきます。

トキソプラズマ症

猫の糞に寄生するトキソプラズマ原虫が原因となる動物由来感染症です。感染しても健康な人なら無症状なことも多く、抗生物質などでの治療が可能ですが、妊婦が初感染した場合には、流産や胎児に重大な影響を及ぼす可能性があります。

エキノコックス症

キツネや犬の糞に混じったサナダムシの卵が原因となる動物由来感染症です。感染すると体内でふ化した幼虫が肝臓で成長し、感染から5〜10年後に肝機能障害をきたします。

オウム病

オウムやインコ、カナリアなどの小鳥が糞や唾液に保有するクラミジア菌による動物由来感染症で、乾燥した糞を吸い込んだり、鳥のくしゃみや口移しで感染します。

風邪やインフルエンザに見られるような、発熱、頭痛、倦怠感などの症状が出ます。

猫ひっかき病

猫や犬にひっかかれたり、咬まれた場合、またはノミの媒介によってバルトネラ菌に感染したときに発症する、動物由来感染症です。

傷口が化膿する他、身体が弱っているとリンパ節が腫れたり、髄膜炎の症状が出ます。

パスツレラ病

猫や犬にひっかかれたり咬まれることで、ほとんどの猫・犬が保有しているパスツレラ菌に感染して起こる動物由来感染症です。

通常は軽い炎症程度ですが、人によっては悪化して敗血症を起こすこともあります。

Q熱

コクシエラ菌という細菌が原因の動物由来感染症で、感染すると発熱、倦怠感、悪寒、筋肉痛など、インフルエンザに似た症状がでるものです。

猫からの感染がほとんどですが、まれに犬からの感染もみられます。

食中毒

爬虫類やカメなど、さまざまな動物の糞に混じるサルモネラ菌などの食中毒菌に感染することによる、動物由来感染症です。

食品からの感染同様、下痢や複数、嘔吐などの食中毒症状が出ます。

動物由来感染症に罹る人が増えている理由は?

近年、動物由来感染症にかかる人が増えている理由の1つとして、家庭内でのペットと人間の接触が必要以上に密になっていることが挙げられます。

家族として、我が子のようにかわいがるあまり、ペットが病原菌を有していることを忘れて唾液や糞尿への接触が多くなり、感染の機会を増やしている飼い主も少なくないのです。

また、日本国内ではみられなくなった狂犬病の恐ろしさを理解せず、飼い主が予防接種を怠ったり、海外で感染した動物に咬まれて狂犬病に感染するケースも報告されています。

このように、日本国内でペットを飼う人たちの飼い主としてのモラル・意識の低下や、海外からの感染によっても、動物由来感染症にかかる人が増えているのです。

動物由来感染症を予防するために気をつけるべきこと

動物由来感染症の予防には、以下のような対策が効果的です。

  • ペットとの過剰な接触、触れ合いを避ける
  • 動物と触れ合った後には必ず手を洗う
  • 感染源となる動物の糞尿は、速やかに片付ける
  • 野生動物や、野外飼育の動物との接触はできるだけ避ける  など

これらの予防策を講じていても、感染する可能性はあります。ペットや動物との接触後に少しでも体に不調を感じたら、早めに医療機関を受診してください。

ジビエの生食にも注意

最近では害獣駆除の影響による供給の増大や、SNSなどで「おしゃれな料理」として若い世代にも人気を博した結果、ジビエ料理を口にする機会が増えています。

ジビエ料理に利用される野菜動物にはトキソプラズマやエキノコックスなどの寄生虫や種々の細菌が潜んでいる可能性があるため、肉や内臓を十分に加熱せずに食べるとこれらに感染する危険があります。ジビエを口にするときは生食はもちろんのこと、中までしっかり火が通っていないものは避けるようにしましょう。

おわりに:動物由来感染症は予防が可能。ただし、少しでも不調を感じたらすぐに病院へ

多くの人がペットを飼い、気軽に海外旅行に行けるようになった近年、動物由来感染症にかかるリスクはすべての人にあると言えます。ただし、動物との正しい接し方や予防法を理解していれば、感染は予防できます。予防法と症状を理解しておき、疑わしい症状を感じたら、すぐに病院を受診してください。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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