月経のときに気胸になる!?月経随伴性気胸の症状と治療法とは

2018/2/27 記事改定日: 2018/7/12
記事改定回数:1回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

気胸というと、若く痩せている男性の患者が多いイメージですが、女性でも珍しいタイプの気胸を発症することがあります。今回の記事では、毎月生理の前後に症状が現れる「月経随伴性気胸」について、症状や原因、治療法などを解説します。

月経随伴性気胸の症状とは!?

月経随伴性気胸は、異所性子宮内膜症(子宮や卵巣以外で子宮内膜ができてしまう病変)により引き起こされる気胸の一種です。

生理(月経)開始3日前から5日後までの間に胸痛、呼吸困難や喀血、血痰などの症状を呈し、多くの場合右肺に症状が現れます。顕微鏡下での組織学的診断をつけることは簡単でなく、診断基準は一定していないのが現状です。

気胸は10〜30代の痩躯の男性に多く、女性が発症すること自体が珍しいため、女性に気胸が起きた場合には月経随伴性気胸の可能性があります。

月経随伴性気胸の発症原因

月経随伴性気胸は、子宮内膜症が横隔膜に広がり、生理時に横隔膜に穴が開いて空気が胸腔に空気が入ったこと、または肺に異所性子宮内膜症を発症し生理時に穴が開くことが原因と考えられています。ただし、どのような経過を辿ってこれらの病変が出てくるのかについては、いくつかの説がありはっきりしていません。

まず、内膜組織が血流にのって静脈やリンパ行性に侵入し、胸腔内臓器に転移したという説があります。これとは別に、子宮から卵管へと逆流して直接播種したという見解もあります。そのほかには、胸膜中皮の細胞が女性ホルモンの影響を受けて変性して子宮内膜が形成されるという説があります。

月経随伴性気胸の治療法

月経随伴性気胸の治療は、外科的手術とホルモン療法の2本柱で実施されます。
なお、手術のみやホルモン療法のみの治療では再発率が高いことから、両方の治療を組み合わせて実施することが望ましいとされています。

手術

最も直接的な治療は、横隔膜の病変部を切除して取り除き、損傷部位を縫合する手術になります。また、子宮内膜の増殖を抑制するには女性ホルモンの活性を喪失させる方法が有効という点から、卵巣摘出術が実施される場合もありますが、妊娠希望の方には実施できないというデメリットがあります。

ホルモン療法

ホルモン療法とは、GnRHアナログなどを投与して偽閉経状態を作り出し、卵巣からのエストロゲン分泌量を減少させることで、子宮内膜病変を退縮させる治療法です。副作用として、更年期障害や血栓などの症状が出る場合があります。

再発を繰り返す方では、GnRHアナログなどの方法に引き続き、低用量ピルやダナゾールなどの治療薬を継続する場合もあります。

月経随伴性気胸と妊娠

月経随伴症候群は、肺や横隔膜に発生した異所性子宮内膜が月経周期による女性ホルモンの増加によって増殖し、剥がれ落ちることが原因で胸の痛みや呼吸困難などの症状を引き起こします。
このため、妊娠中は月経に伴う女性ホルモンの変化がなく、異所性子宮内膜が増殖することもないため、一般的には妊娠すると症状が治まるとされています。
しかし、出産後に月経周期が再開すると症状が再発することが多々あります。

呼吸器科と婦人科、どちらを受診したらいい?

月経随伴性気胸は月経に伴う病気のため、まずは婦人科を受診することをおすすめします。しかし、重度な症状があって手術を必要とする場合や、大きな気胸が生じた場合には呼吸器外科や呼吸器内科での治療が必要となる場合もあります。
このため、婦人科や呼吸器科を兼ね備えた総合病院を受診してご相談されることをおすすめします。

おわりに:生理前後の胸の痛みは、月経随伴性気胸のサインかも?

「毎月生理の頃になると、胸の痛みや呼吸困難が起きる」という場合は、月経随伴性気胸を疑った方がいいかもしれません。専門の医療機関を受診し、根気よく治療を続けていきましょう。

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