記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/8
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ブロッコリーやキャベツなどに含まれる「スルフォラファン」という成分には、がん予防効果があると期待されています。以降で、スルフォラファンの効能や効果的な摂取方法などについてご紹介していきます。
スルフォラファンは硫黄を含む化合物で、身体の細胞を傷つけて老化させる活性化酸素や、毒素を分解・排出させる作用のある栄養成分です。カリフラワーやブロッコリーに多く含まれ、独特の辛みと香りのもととなっています。老化予防や解毒の作用から、殺菌や疲労回復、病気予防、老化防止への効果が期待されています。
スルフォラファンに期待されている4つの効果についてご説明していきます。
まず期待されているのが解毒作用です。ヒトにはもともと、外気や食物から体内に吸収した有害物質を解毒し、無毒化して体外に排出する機能が備わっていて、これが低下すると発病のリスクが上がると言われています。
スルフォラファンは、体内で有害物質を解毒するのに必要な「解毒酵素」の働きを高めると言われているため、解毒作用が期待されているのです。
次に、スルフォラファンには抗酸化作用も期待されています。
抗酸化作用とは、身体や細胞を老化させると言われている活性酸素を追い出す作用のことです。スルフォラファンは、抗酸化酵素の分泌を助け、働きを高めることで、体内からの活性化酸素の除去に貢献してくれると言われています。
胃炎や胃癌の原因となり得るピロリ菌の除去にも、スルフォラファンの有効性が期待されています。一説には、スルフォラファンが豊富なブロッコリーの定期的な摂取によって、ピロリ菌を殺菌できるとも言われているほどです。
スルフォラファンには、炎症を引き起こすヒスタミンや、過剰な抗体の合成を抑制する働きがあることから、花粉症症状の緩和への効果も期待されています。
がん発病の誘因はさまざまですが、一説には、有害物質や活性酸素が正常な細胞を傷つけ、劣化させることが発がんの一因となると言われています。このことから、近年スルフォラファンの持つ「解毒作用」「抗酸化作用」「免疫への作用」が、発がん予防への効果が期待されているのです。
スルフォラファンの摂取によって期待されているがん予防への具体的な作用は、それぞれ以下の通りです。
発がんの原因となり得るような、身体にとって有害な物質の分解・解毒を促進する作用です。
体内細胞の劣化・老化の原因となる活性化酸素を除去し、細胞の老化を防ぐ作用です。
がん細胞が発生した場合の増殖・転移を抑制してくれる作用です。
このように、スルフォラファンにがん細胞の発生と増殖を抑える効果が期待できることから、摂取することによるがん予防効果が見込まれています。
ただし、現時点ではがん発病後のスルフォラファンの効果は報告されていません。あくまで予防の段階において、スルフォラファンの効果が期待されているというものです。
スルフォラファンは、前述したブロッコリーやカリフラワーなどをはじめとした、アブラナ科の植物に多く含まれている栄養成分です。以下に、スルフォラファンが豊富に含まれるアブラナ科の食品を、100gあたりのスルフォラファン含有量の目安と一緒にご紹介します。
・ブロッコリー・・・100gあたり、50〜60mg
・カリフラワー・・・100gあたり、30〜40mg
・キャベツ・・・100gあたり、50〜60mg
・芽キャベツ・・・100gあたり、236mg
・ブロッコリースプラウト・・・100gあたり、1000〜2000mg
・ケール・・・100gあたり、100mg
キャベツよりも芽キャベツ、ブロッコリーよりもブロッコリースプラウトの方がスルフォラファンの含有量が多いことから、スルフォラファンは、アブラナ科のなかでも特に「新芽に多く含まれている成分」であることがわかります。
スルフォラファンは、食品中では「スルフォラファングルコシノレート」という物質として存在していて、同じくアブラナ科の食品に含まれる「ミロシナーゼ」という酵素と反応することで、スルフォラファンに変化します。このスルフォラファングルコシノレートとミロシナーゼを反応させるには、よく噛んだり、砕くなどして、スルフォラファングルコシノレートを壊す必要があります。
また、ミロシナーゼは熱に弱い性質があるため、スルフォラファンの最も効果的に摂取するには、生のままサラダやジュースとして摂取するのが良いでしょう。
ただ、キャベツやブロッコリースプラウト、ケールなら生で食べられますが、ブロッコリーやカリフラワーは、加熱して食べたいという人も多いかと思います。そんな方は、スープなどにしてゆで汁ごと摂取するのがおすすめです。
また、摂取する頻度は、3日に1度くらいのペースが好ましいと言われています。食材や好みにあわせて、効果的な方法で摂取できるよう工夫してください。
解毒、抗酸化、免疫機能を助ける作用があるスルフォラファンには、がん細胞の発生と増殖を抑える「がん予防の効果」が期待されています。キャベツやブロッコリーなど、日々の食生活に取り入れやすい食品に豊富に含まれていますので、興味のある方は、がん予防のためにも、積極的に摂取していきましょう。