大人の帯状疱疹ワクチンの効果や副作用は?費用はどれくらい?

2017/3/23 記事改定日: 2020/6/19
記事改定回数:3回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

帯状疱疹はワクチンで予防できる病気です。発症率を低減させることと、重症化を予防する目的で50歳以上の予防が追加承認されましたが、ワクチンの効果や効果持続期間はどのようなものでしょう。この記事では、帯状疱疹ワクチンの効果や副作用、注意事項などについて紹介します。

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帯状疱疹は完治する?重症化すると?

帯状疱疹は2~3週間で治ることも多いですが、免疫力が低下しやすい方や高齢の方の場合は合併症として「帯状疱疹後神経痛」を発症しやすく、皮膚症状が完治しても長期間痛みが残る可能性があります。

帯状疱疹を発症したら放置せずに早めに病院で治療を受けることが大切です。まれにですが次のような病気を発症する可能性があります。

  • 眼合併症
  • 髄膜炎
  • 脳炎
  • 血管炎
  • 脳梗塞

帯状疱疹後神経痛とは

帯状疱疹後神経痛とは、水疱などの症状が消失した後にも続くピリピリとしびれるような神経由来の痛みのことです。

帯状疱疹の原因となるウイルスは、症状が改善した後も神経の中に潜み続けることが分かっています。帯状疱疹後神経痛は、神経内に潜んでいるウイルスが神経にダメージを引き起こすことによって発症するものです。

症状の程度は人によって異なりますが、日常生活に支障を来すような強い痛みに襲われる方も少なくありません。また、帯状疱疹後神経痛は高齢であるほど発症しやすく、50代以降の方では約2割の方に見られるとされています。

帯状疱疹ワクチンの効果や副作用って?

帯状疱疹ワクチンは水ぼうそう予防に使われる水痘ワクチンと同じものです。

効果

成人の水ぼうそうと帯状疱疹にかかるリスクを減少させる効果があります。
また、ワクチンを接種することで、帯状疱疹を発症しても症状が軽くなったり、病状期間は短くなったりすることが期待されます。

帯状疱疹ワクチンは過去に帯状疱疹になった人に対しても、将来的な帯状疱疹に対する免疫力をさらに増強して発症リスクを低下させる効果が期待されます

※2016年3月、厚生労働省は子供の水ぼうそうの予防に使われていた乾燥弱毒生水痘ワクチンを50歳以上の方に限って帯状疱疹の予防のために使用することを認めました。

副作用

帯状疱疹ワクチンは比較的安全性が高いですが、まれに接種後、数時間経ってから発疹、じんましん、かゆみなどの副作用が起こることがあります。
また、併用禁忌とされているステロイドと免疫抑制剤との併用は絶対に避けてください。

成人の帯状疱疹ワクチン接種は何歳から受けられる?

帯状疱疹ワクチンの接種は基本的には任意なので、年齢は特に決められていません。
ただ、帯状疱疹の発症する年代が50代~60代に多いことと、加齢によって免疫力が低下するにしたがって重症化したり、合併症である「帯状疱疹後神経痛」を発症するリスクが高くなることから、特に50歳以上の方に推奨されています。

しかし、最近では帯状疱疹が若年層にも多く見られます。
幼児期に水ぼうそうに罹っていても、そのときに作られた抗体は20年後には弱くなるので、予防のためにワクチン接種を考えてもよいでしょう。

帯状疱疹ワクチンを接種できないのはどんなとき?

日本で使用される帯状疱疹ワクチンは、水痘ウイルスを弱毒化して得られる生ワクチンです。
そのため、明らかに免疫機能に異常のある場合や、免疫力を抑制をする治療を受けている場合は接種できません。

また、組成に「カナマイシン」「エリスロマイシン」という抗生物質が含まれるため、過去にこれらへのアレルギー反応を起こした方や、妊娠している方やその疑いのある方は接種することはできません。
(※ワクチン接種後2ヶ月間は避妊する必要があります)

加えて、別の予防接種を受ける場合は片方のワクチンを接種してから27日以上間隔を空ける必要がありますただし、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンとは接種時期が近くても受けることができます。

帯状疱疹ワクチン接種を受けられない人
  • 免疫機能に異常がある
  • ステロイドや免疫抑制剤など免疫を抑制する治療を受けている
  • ワクチンへのアレルギーがある
  • 妊娠中、妊娠の可能性がある
  • 別の予防接種を受けてから27日以上経っていない

帯状疱疹のワクチンの費用は?

帯状疱疹のワクチンは、2016年に50歳以上の中高年者を対象に接種が推奨されるようになりました。
ただ、定期接種には定められていないため、費用は自費になります。予防接種にかかる費用は医療機関によっても異なりますが一回の接種で5000~7000円ほどが相場です。
また、ワクチンの効果は1回接種で10年前後と考えられています。

帯状疱疹ワクチンでヘルペスは予防できる?

帯状疱疹とヘルペスはヘルペスは皮膚症状など似ているものがあります。ヘルペスとは小さな水ぶくれが集まった状態のことで、ヘルペスウイルスが皮膚や粘膜に感染して水ぶくれができる病気のことを指します。

水ぶくれを引き起こすヘルペスウイルス
代表的なウイルスは2種類で、水ぼうそうや帯状疱疹の原因となる〈水痘・帯状疱疹ウイルス〉と、口唇ヘルペスや性器ヘルペスなどの原因となる〈単純ヘルペスウイルス〉がある

水痘・帯状疱疹ウイルスも単純ヘルペススウイルスもヘルペスウイルスの一種ですが、帯状疱疹ワクチンでは単純ヘルペスや性器ヘルペスを予防することはできません。

単純ヘルペスや性器ヘルペスの予防には現在のところ有効なワクチンがないので、感染者との接触を避けることや日頃から免疫力を高めることで対応しましょう。

おわりに:帯状疱疹ワクチンで帯状疱疹発症を予防して重症化を防ごう!

帯状疱疹ワクチンを接種することで帯状疱疹の発症リスクを下げ、万が一発症しても重症化を避けることができます。ワクチン接種は任意ですが、特に発症率の高い50代~60代の方は予防接種を受けるかどうか一度検討してみてください。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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