糖尿病は遺伝するって本当?遺伝子を持っていても予防できる?

2018/5/11

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「糖尿病は遺伝する」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、果たしてこれは本当なのでしょうか?もし糖尿病になりやすい遺伝子を持っていた場合も、発症を予防することはできるのでしょうか?

糖尿病ってどんな病気?

私たちの体は、食事によってブドウ糖を吸収し、すい臓から分泌されるインスリンによって糖分を細胞内に取り込みます。ところが、何らかの原因によってインスリンの量が減少したり、効き目が悪くなると、血液中にブドウ糖がいつまでも残ってしまいます。このような状態が慢性的に起こっている病気が「糖尿病」です。

糖尿病は、自己免疫疾患などを原因とするⅠ型と、生活習慣に原因となって引き起こされるⅡ型に分かれます。日本では糖尿病患者の約95%をⅡ型糖尿病が占めています。

Ⅰ型は体質的にインスリンがほとんど分泌されないため、毎日注射でインスリンを注入しなくてはいけません。一方、Ⅱ型ではもともとの体質に加え生活習慣が重なって発症することが多いでしょう。Ⅱ型の場合は、食生活の改善や運動習慣をつけることである程度コントロールすることができます。

しかし、糖尿病の怖いところは、重篤な合併症を引き起こすことです。その中でも「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」は、ともに中途失明や透析導入の原因ナンバー1となっています。また、「糖尿病神経障害」はひどくなると足が壊疽(えそ)を起こし、切断を余儀なくされることもあります。

糖尿病は遺伝するの?

糖尿病は病気そのものが遺伝するというよりは、なりやすい体質が遺伝すると言われています。日本人はインスリンの分泌量が少ないため、欧米人に比べると糖尿病になりやすい体質です。

しかし、糖尿病になりやすい体質だからと言って、必ずしも糖尿病になるというわけではありません。なぜなら、日本人に多いⅡ型糖尿病は生活習慣の影響により引き起こされる可能性が高いからです。

例えば、家族に糖尿病の人がいる場合、同じ生活習慣を送っている人が多いでしょう。しかし裏を返せば、糖尿病になりやすい人が生活改善を行えば、糖尿病になるリスクを下げることができます

つまり、糖尿病はなりやすい体質は遺伝するものの、必ずしも糖尿病になるとは限らないのです。

遺伝しやすいかどうかは検査でわかる?

糖尿病が遺伝しやすいかどうかは検査で調べることができます。病院では「ジェノマーカー」と呼ばれる検査で、糖尿病になりやすいかを調べられます。ただし、保険は適用されないため全額自己負担となります。

また、ネット通販でも糖尿病の遺伝検査を行うことができますが、手軽に行える一方、不安をあおるだけとの指摘もあります。検査後は病院を受診し、適切なフォローを行ってもらうようにしましょう。

どうすれば糖尿病を予防できる?

糖尿病の遺伝子があっても糖尿病にならないためには、日ごろからの予防が大切です。

まずは、食生活を見直しましょう。一日の摂取カロリーは、男性で1600~2000kcal、女性では1400~1800kcalを目安にします。また、食物繊維には血糖値の上昇を抑える効果があるので、食事の最初に食べるようにすると良いでしょう。食物繊維を含む野菜は歯ごたえのあるものが多いため、よく噛むことにも繋がり、満腹感も得やすくなります。

さらに間食もやめましょう。食事は3食規則正しく食べることで、血糖値が上がるのを緩やかにしてくれるでしょう。

次に、運動をすることも大切です。糖尿病を予防するためには、1日8000~10000歩を目安に歩くと良いでしょう。しかし、毎日運動する時間を設けられない場合には、エレベーターに乗らずに階段を使うなど、生活の中で運動量を増やす工夫をします。

ただし、普段運動する習慣がない人の場合は、軽めの運動から始め、徐々に時間を延ばしたり、負荷を加えるようにしましょう。体調に異変を感じた場合や痛みがある時にはすぐに中止し、できるだけ早く医療機関を受診してください。

おわりに:生活習慣の改善で糖尿病は予防できる

糖尿病は誰もがかかる可能性のある病気です。しかし、II型糖尿病は生活習慣を見直すことで予防することができます。家族に糖尿病の人がいるから遺伝するかもと心配な人こそ、食生活やちょっとした運動を始めてみてはいかがでしょうか。

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