糖尿病患者の寿命はどのくらい?長生きするためにはどうすればいい?

2018/5/9

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

糖尿病と診断された患者さんの多くが気にされるのが、糖尿病患者の平均寿命です。今回の記事では糖尿病患者の寿命や、少しでも長生きするために必要なことなどをご紹介していきます。

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糖尿病患者はどのくらい生きられる?

病気になると気になるのが寿命です。糖尿病の患者さんはどのくらい生きることができるのでしょうか。糖尿病患者の平均寿命は現在伸びており、2001~2010年の10年間の日本人の糖尿病患者の平均年齢は、男性が71.4歳、女性が75.1歳という結果が出ました。これは、その前の10年間と比較すると、男性で3.4歳、女性で3.5歳延びています。

これは糖尿病の治療法が進歩していることが背景にあると考えられ、糖尿病であっても患者が生きていける年数はどんどん伸びているということがこの結果から分かります。

しかし、糖尿病にかかっている人とそうでない人の寿命を比較するとやはり糖尿病にかかっている人の方が寿命は短いことが現状で、糖尿病の人はそうでない人より4.6年早く死亡していることが分かっています。

1型糖尿病患者の寿命も延びている

糖尿病患者全体の5%程度しかいないと言われる非常に人数の少ないⅠ型糖尿病は、比較的寿命が短いと言われています。その理由として、Ⅰ型糖尿病ではケトアシドーシスなど高血糖による緊急性のある合併症にかかる確率が高いことが挙げられます。

しかし、そんなⅠ型糖尿病の患者の寿命も近年延びてきています。1975年に行われた調査ではⅠ型糖尿病の患者の寿命はかなり短いとされ、70歳まで生存すると予測される割合は、糖尿病でない一般の人たちでは男性で76%、女性で83%であるのに対して、Ⅰ型糖尿病では男性で47%、女性で55%となっていました。しかし、こちらも治療技術の進歩に伴い、Ⅰ型糖尿病患者の平均寿命も延びてきています。

寿命が短くなってしまう原因は?

それでは、糖尿病全体で見て寿命が短くなってしまう原因は何なのでしょうか。それは糖尿病の合併症によるものと考えられています。

糖尿病による合併症は糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経症が三大合併症と言われてきました。しかし、これらの症状1つ1つを見てみると、目、腎臓、神経といった単体の臓器だけでなく、これらが障害されることによってすべての臓器に影響を及ぼします。

また、三大合併症以外にも免疫力が弱くなるため感染症にかかる可能性も高くなりますし、血糖値が高い状態が続くことによる動脈硬化やそれに伴う心筋梗塞、脳梗塞といった命に直結しかねない重篤な副作用を招く可能性もゼロではありません。

このことから、糖尿病そのものによって寿命が短くなるというよりも糖尿病による合併症にかかることによって寿命が短くなると考えられています。

どうすれば糖尿病になっても長生きできる?

糖尿病であっても長生きしたいと願っている人はたくさんいるはずです。それではどうすれば糖尿病になっても長生きできるのでしょうか。

それは、糖尿病の症状を悪化させないことです。そのためには、食事のコントロールと適度な運動をして糖を摂りすぎず、消化していくことが必要不可欠となります。

食事は医師から指示された範囲のカロリーで抑えるようにし、栄養のバランスが偏らないように1日3食必ず食べるようにしましょう。ゆっくりよく噛んで食べて腹八分目を維持できるようにし、お菓子や清涼飲料水など砂糖の多い食品は控えましょう。食物繊維を多く含む食材は積極的に摂るようにし、外食や総菜に頼る際には栄養成分表示をチェックして選ぶように心がけましょう。

また、無理に運動ができなくても、日常生活の中で多めに歩くなど身体を動かす習慣をつけ、早寝早起きといった規則正しい生活を心掛けることも大切です。飲酒、喫煙をしている方はこれらの習慣を断つことも長生きするためのポイントとなります。

そして、こまめに体重を測って自分の身体のことを知り、太りすぎによる症状悪化を食い止めるのも長生きしていく上では非常に重要です。さらに医師から処方されているお薬は確実に内服あるいは使用するようにすることも必要です。

おわりに:合併症への罹患を防げば糖尿病でも長生きできる

医療は目まぐるしく進歩しており、10年前と比べ、糖尿病に罹患していながらも長生きしていくことができる世の中になりました。

しかし、糖尿病を抱えて長生きできるかどうかは合併症の罹患に左右され、合併症に罹患してしまうと糖尿病であっても生命予後が急激に短くなってしまいます。糖尿病の悪化を予防することが糖尿病と付き合いながら長生きしていくことの秘訣となるでしょう。

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