耳が聞こえにくいとうつ病になる? 難聴を早めに対処すべき理由

2017/3/23

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

普段、耳が聞こえにくいという人は、相手の声を聞くために集中したり、何度も聞き直して相手に悪いと思ってしまったり、会話だけで気疲れしてしまったりしませんか? もしそうだという人は、難聴を疑ってもいいかもしれません。耳が聞こえにくいのは人間関係にも影響を及ぼします。この記事では、耳が聞こえにくいことで起こる問題から、難聴を早めに治すべき理由を解説していきます。

耳が聞こえにくくなって落ち込んでいますか?

会話についていくのが難しくなると、人間関係を構築するのに妨げになることがあります。だから、聴力低下に対処することが重要です。
難聴になると社会的に孤立する可能性があるということは調査でわかっていますが、難聴の自覚がある人が検査を受けるまでには10年かかることもあるそうです。難聴への偏見があるため自分が難聴であることを長い間認められないのです。
聴力の低下は「老化」と結び付けられることが多く、補聴器をつけることも、最近の技術やデザインの向上を知らずに、否定的に捉える人もいます。社会的にも難聴ということで、偏見的にみられることもあります。
難聴だと社会から切り離されている感覚があったりもして、この孤独感がうつ病につながるということも調査によって示されています。「相手が言っていることを聞き取るのに苦労するから」と社会的接触を避けるため、信頼も損なわれる可能性もあります。
聴力が低下していると思う場合は、早めに聴覚の問題に対処することで、人間関係も含めた生活の質を向上させることができます。

難聴と夫婦(恋人)関係

難聴の診断が遅れると、家族や友人との関係にも影響を及ぼします。パートナーが難聴の夫婦を対象にした調査では、難聴はパートナーにとって非常にイライラする可能性があることが判明しました。場合によっては、ふたりの話が食い違うことがあります。これが不仲につながり、いさかいに発展する可能性もあります。
聴力障害のある人のパートナーも、仲間付き合いの減少などの以前していたようなことはあまりできなくなるので、孤独感などを感じ、社会的生活の質の低下を訴えることがあります。
難聴の問題を無視していても、このような問題は自然と解決するものではありません。また、補聴機器を使うことで、生活の質を向上させるかもしれませんが、その機会を逃してしまう可能性もあります。
聴力検査をした後に、補聴器が役に立ちそうだと分かったら、できるだけ早く補聴器を使ってみてください。まだ比較的軽度であるうちに補聴器を使うほうが良いからです。補聴器を使いはじめるのが早いほど、聞こえる音すべてに脳が適応できるようになります。難聴になってから補聴器を使うまでの期間が長いと、聞こうとしている音から脳が情報を引き出すことが困難になります。

聴力低下に対処すべき理由

聴力が低下したと思ったときに、早めに対処すべき理由を挙げます。
・家族や友人との関係がよりよくなります
 難聴者が補聴器を早期に使い始めると、大切な人との関係が改善されることが調査で示されています。 
・難聴で生じる問題に対処する方法はたくさんあります
最近の補聴器は、従来のものよりもはるかに小さく、制御しやすいデジタルの補聴器が売られています。また、聞き取りやすく設計された電話機、音が大きく点滅もするドアベル、音が大きく振動する目覚まし時計、振動する腕時計など、生活の助けになる製品もあります。 
・補聴器は早めに使い始めたほうがよいです
耳が聞こえにくい世界に慣れてしまうと、補聴器で増幅された音に慣れるのは難しく、あまり効果的ではなくなってしまうからです。

おわりに:耳が聞こえにくいと思ったら病院に

難聴は老化だけが原因でなるものと思われがちですが、若者でも難聴になるもので、恥ずかしいものではありません。この記事で解説してきたように、耳が聞こえにくいと思った場合には、早めに難聴の検査を受けましょう。それまで悩んでいた人間関係の問題も解決するかもしれません。

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