記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/4/17 記事改定日: 2019/3/1
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠初期に妊娠していると気づかずに薬を飲んでしまったり、病気になったりする可能性は誰にでもありますよね?
そのような場合に備えて、妊娠初期の薬の服用が胎児にどのような影響を与えるのか、またどのようなことに気をつけるべきかを知っておきましょう。
妊娠中の薬の服用による影響は、薬の種類・量や併用薬、妊娠時期のいつごろかによって赤ちゃんに与える影響が異なります。
赤ちゃんが最も薬の影響を受けやすい時期は、妊娠4週目からおよそ3ヶ月間といわれています。この時期は赤ちゃんの体の重要な器官が作られるため、薬はできるだけ服用しないようにしましょう。
また、自己判断で市販薬を服用することはせず、必ず医師に確認してから薬を服用するようにしましょう。
超音波で胎嚢(赤ちゃんの袋)が見えないような妊娠のごく初期に飲んだ薬が赤ちゃんに影響することは、妊娠が順調に経過していればないと考えられています。
ただし、不安な場合は医師に相談して指示を仰ぎましょう。
基本的には、妊娠初期には薬の服用はできるだけ控えることが望ましいです。
しかし花粉症用の薬の中でも目薬や点鼻薬などの局所的な薬であれば、お腹の赤ちゃんに影響を与えることはほとんどないため、妊娠中にも処方してもらえることが多いといわれています。
妊娠16週以降であれば産婦人科医に相談して、ポララミン®錠やアレグラ®などのアレルギーを抑えてくれる薬を処方してもらうことが可能です(※処方が可能かどうかは医師の判断によって異なります)。
なお、診察の際は必ず妊娠中であることを医師に伝えるようにしてください。
カロナール®は病院で処方される頭痛薬のひとつです。
基本的には妊娠中の服用は可能で、主成分のアセトアミノフェンは赤ちゃんの奇形を引き起こす危険性(催奇形性)や動脈管への悪影響がほとんどないため、妊娠初期及び妊娠中に服用しても問題ないといわれています。
一方いわゆるロキソプロフェンなどのNSAIDSと呼ばれるタイプの薬は、「胎児に動脈管収縮を起こすことがある」といわれており、日本では妊娠中の服用は禁忌となっていますので、できるだけ服用は控えるようにしましょう。
抗生物質は病原微生物の増殖や成長を抑える・殺す働きのある薬です。
妊婦さんがに虫歯や膀胱炎、性器クラミジアなどの感染症に罹り、細菌の増殖を抑えないと母子共に危険な状態になる可能性があると医師が判断した場合、妊娠中でも抗生物質(抗生物質)が処方されることはあります。
そのような場合には、妊娠中に服用しても比較的安全とされる以下のような抗生物質(抗生物質)が処方されることが多いです。
ただし、注意が必要な抗生物質もあります。
アミノグリコシド系の抗生物質は腎形成異常や聴覚障害など、テトラサイクリン系の抗生物質は歯の着色を、ニューキノロン系は関節障害を引き起こす可能性があるので、妊娠初期に病院で薬を処方してもらうときには必ず妊娠中であることを伝えてください。
妊娠初期は胎児の臓器や神経、骨格などができる非常に重要な時期であり、特に妊娠4~7週は「絶対敏感期」と呼ばれ、薬による影響を受けやすい時期です。
以下の薬は妊娠初期に服用すると、胎児奇形などを引き起こすことがあるため注意しましょう。
これらの薬を服用中の人は、妊娠がわかった段階で医師に相談して薬の中止や変更を検討してもらいましょう。
その他の薬剤でも、アローゼン®︎やフロセニドなどの大腸を刺激するタイプの下剤やホルモン剤などは子宮収縮を促すことがありますので妊娠初期は慎重に服用する必要があります。
また、チョコラ®︎Aやポポン®︎SなどビタミンAが含まれている薬は、妊娠初期に多量に服用すると胎児奇形を引き起こす危険がありますので、規定量以上は服用しないようにしましょう。
どのような薬も使用時期によって注意が必要だったり避けたい成分が含まれている可能性があるため、薬は必ず病院で処方してもらい、医師に確認してから使うようにしましょう。
また、妊娠する前に処方された薬でも妊娠中に使えるとは限らないので、使用は避けてください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。