記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/14 記事改定日: 2019/9/27
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
尿蛋白(にょうたんぱく)は名前の通り「尿に含まれるタンパク質」を指します。一般的には、タンパク質は血液の成分と一緒に腎臓を通過して体内に戻されるため、尿にタンパク質が混じることはありません。ですが、何らかの原因で腎臓がうまく機能していないと尿蛋白が出やすくなります。
今回は、尿蛋白が妊娠中に出やすい原因と改善方法をお伝えします。
妊娠中に尿蛋白が出やすくなります。これは妊婦さんの腎臓は、自分の血液だけでなく赤ちゃんの血液もろ過しているからです。
妊娠前よりも腎臓に負担がかかっているわけですから、腎機能が低下しやすく、尿蛋白もでやすくなってしまいます。
また、妊娠中に睡眠不足や運動不足になりやすくなることも腎機能を低下させる原因になります。
尿にタンパク質が含まれていたら尿蛋白の項目に「プラス」と書かれます。
また、プラスの横の数字が大きくなるほど尿蛋白の量が多いという意味で、例えば「1+」「2+」「3+」「4+」の場合は「+4」の尿蛋白の値が最も高いということです。
(※尿蛋白はマイナスになっているのが正常ですが、「プラスマイナス」と表記された場合は「プラスが疑われる」という意味の「1+」に近い状態をあらわしています)
妊娠中は普段よりも尿蛋白が出やすいため、「プラスマイナス」や「1+」が1回出てもすぐに問題視されるわけではありません。
この場合は次回以降の妊婦健診での尿蛋白の数値で判断することが多いです。
妊娠中は尿蛋白が出やすくなります。そのため、睡眠不足などが続くと、腎臓にとくに異常がなくても尿蛋白が出ることもあります。
しかし、妊娠中の尿蛋白は妊娠高血圧症候群など重篤な症状のサインである可能性もあります。次のような症状や身体の変化を伴うときには注意が必要です。
尿蛋白が検出された場合、特に妊娠高血圧症候群の可能性があるようであれば、食生活の見直しや改善が求められます。
とくに大切なのは、
の2つです。
妊娠初期は食べられるものを少しずつでも食べることが大切ですが、塩分を摂りすぎると尿蛋白が出やすくなるので注意しましょう。
つわりが軽くなってからでかまわないので
などの工夫をして、食事の塩分を減らしていきましょう。
妊娠中期~後期は食欲が戻りやすくなるため食事量が増えがちになってしまいます。
体重管理の意味でも、意識して摂取カロリーを管理しましょう。
たとえば
などして体重が増えすぎないようにしましょう。
尿蛋白は睡眠不足や運動不足が原因で出ることもあります。
睡眠・運動不足を解消するために、以下のような方法を試してみましょう。
つわりをはじめとした体調の変化によって眠れないこともあるでしょうが、昼寝などを取り入れて睡眠時間をしっかり確保しましょう。
妊娠初期には無理して運動しないように気をつけて欲しいですが、妊娠16週目以降の「安定期」に突入して体調が良くなってきたら運動を取り入れてみてください。
まずはウォーキングやストレッチ、マタニティヨガなどの軽めの運動からはじめましょう。
妊娠中の運動は尿蛋白だけではなく他の妊娠中のトラブルの予防や、出産に向けた体力づくりにもなるので、無理をせずに続けていくことをおすすめします。
妊娠中は通常よりも尿蛋白が出やすいですが、日頃から食事内容や量、睡眠不足にならない、運動を取り入れるなどの工夫することで数値の上昇を抑えることができます。
妊娠中は、普段よりも意識的に健康的な生活習慣を送るようにましょう。