糖尿病だと感染症になりやすい? その理由を解説

2018/5/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

中高年以降から患者数が増える糖尿病は、発症すると感染症にかかりやすくなると言われています。果たしてそれは本当なのでしょうか?理由と共に解説します。

糖尿病だと感染症になりやすいって本当?

糖尿病患者は、風邪や肺炎、結核、膀胱炎、腎盂腎炎などの感染症になりやすく、また重症化しやすいと言われています。特に糖尿病患者はインフルエンザや肺炎による死亡リスクが高いことが知られており、日本人の糖尿病患者の死因の約14%が感染症によるものというデータもあるほどです。

糖尿病だと感染しやすい理由は?

糖尿病患者が風邪や肺炎などに感染しやすくなる理由としては、以下のことが挙げられます。

免疫力の低下

糖尿病により高血糖の状態が続くと、白血球(特に細菌を食べてくれる貪食(どんしょく)好中球)の機能が低下します。このため病原体が侵入しても防げずに感染に移行しやすく、免疫力も低下し、さらに感染しやすい状態になります。

血流の悪化

血糖値が高い状態が続くと細小血管の血流が悪化し、細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなり、回復が遅くなります。また白血球も感染部位に届きにくくなるため、感染症を起こしやすくなります。さらに、血流が低下すると内臓の機能も低下するため、内臓の感染症(肺炎や膀胱炎)になりやすくなるのです。

神経障害

高血糖の状態が続くと、変性した糖質が神経細胞に蓄積され、神経の機能が低下すると内臓の活動が乱れやすくなります。また細小血管の血流も低下し、酸素不足に陥ることで痛みを感じる神経が鈍くなり、感染症に気づくのが遅れやすくなります。

薬の影響

経口糖尿病薬の中でもSGLT2阻害薬を投与している患者は、糖が尿中に余分に排出されるため、性器感染症や尿路感染症のリスクが高い傾向にあります。

手術

糖尿病患者は感染症を起こしやすい状態なので、腰椎手術や変形性膝関節症などの手術の術後も、感染症のリスクが高いです。

糖尿病で感染症になると、血糖値も上がる

感染症にかかると、体内では血糖値を上げるアドレナリンやサイトカインが分泌されます。健康な人であれば、これらの分泌に合わせてインスリンも分泌されますが、糖尿病患者はインスリンの分泌が障害されているため、血糖値は普段よりも上昇します。これにより糖尿病が悪化することで、さらに感染症も進行しやすくなるので注意が必要です。

おわりに:糖尿病患者は感染症リスクが大!未然に予防を

糖尿病患者は、高血糖状態の持続によって免疫力や血流などが低下しているので、感染症になりやすいです。感染症にかかると血糖値も上昇し、糖尿病自体に悪影響を与えるので、日頃からインフルエンザや肺炎球菌などのワクチン接種を受け、衛生管理を徹底しておくことが重要です。

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