予防接種の同時接種が推奨されているのはなぜ?

2018/5/2 記事改定日: 2019/7/9
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

複数の予防接種を同時に接種する「同時接種」。この同時接種には、身体上のリスクはないのでしょうか?副反応はないのか、何本までなら同時接種しても安全か、といった気になるポイントも解説します。

予防接種の同時接種はどうして必要なの?

2種類以上の予防接種を同時に、同じ対象者に行うことを「同時接種」と言います。複数のワクチンを同時に身体に入れる、と聞くとなんとなく危ないような感じもしますが、実際にはリスクのない医療行為で、一般的に広く実施されています。

日本小児学会からも「ワクチンの同時接種は、日本の子供たちをワクチンで予防できる病気から守るために必要な医療行為」として、リスクがないとする見解が公表されていて、日本では、乳幼児~小児にかけて一定の年齢までに複数の予防接種を受けることが義務付けられています。
これは予防接種を一種類ずつ受けていると、規定の年齢(月齢)までの接種完了が間に合わなくなったり、しかるべきタイミングで病気への免疫を獲得できない恐れがあるからです。

とくにヒブ感染症や肺炎球菌などは乳幼児期から発症するリスクが高いため、一刻も早く予防接種で免疫を獲得することが推奨されています。

このような状況のなかで、一種類ずつ予防接種を受けていて予防が間に合わず、病気を発症して危険な状態になったのでは、元も子もありません。もちろん、保護者の強い希望があれば一種類ずつ接種することも可能ですが、一刻も早く確実な子供の免疫獲得のためには、同時接種した方が良いとされているのです。

副反応のリスクや効果に違いはある?

同時接種によって、予防接種後の副反応が出やすくなったり、数種のワクチンが複合的に作用することによる特殊な副反応が起こることはなく、ワクチンの効果が弱くなることもないと考えられています。

予防接種の同時接種をしていいのは何本まで?

同時接種をする際に、予防接種の本数に対しての制限はありません。

複数種の予防接種を同時接種しても、ヒトの免疫機能にかかる負荷は全体の0.1%ほどと非常に少ないため、基本的には何本でも同時接種して良いとされています。

また、予防接種には注射ワクチン(生ワクチン・不活化ワクチン)から経口ワクチンまでさまざまな種類がありますが、どのような種類との組み合わせでも問題ないと考えられています。

同時接種で副反応が起こったときはどうなるの?

予防接種の数が増えてスケジュール管理が煩雑になっていることを背景に、近年では同時接種によってスケジュール管理を簡便にし、打ち忘れなどを予防するのが一般的になっています。同時接種は単独での接種と危険性は変わらないとされていますが、ごくまれに副反応が生じることもあります。

しかし、同時接種で副反応が生じたときも当然ながら救済制度の適応となるので安心してください。
救済制度には主に2つの種類があり、定期接種のワクチンによる副反応に対しては厚生労働省による「予防接種健康被害救済制度」が適応され、任意接種の場合は医薬品医療機器総合機構による「医薬品副作用被害救済制度」が適応されます。

これらの制度は細かな補償内容や手続きの流れなどが異なりますが、定期接種と任意接種のワクチンを同時に接種した場合は、「予防接種健康被害救済制度」が適応となります。

おわりに:対象者の年齢・状態にかかわらず、基本的に同時接種にリスクはない

一般の人からすれば、一度に複数の病気のワクチンを身体に入れることに、不安や恐れを感じるのも無理はないでしょう。
しかし予防接種に使用されるワクチンは、病気の感染・発症予防のために免疫を作れるよう、きちんと工夫して作られたものです。同時接種しても、これによってリスクが大きくなるわけでないことは世界的に認められていますので、安心して接種してください。

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