高血圧で病気になるリスクはどのくらいある?

2018/5/1

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

食生活の乱れなどが原因で、高血圧になっている人は少なくありませんが、高血圧になると具体的にどんな病気を発症するリスクが高まるのでしょうか?

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高血圧でどんな病気になるリスクがあるの?

血圧は運動や寒さなどのちょっとした刺激で上昇しますが、高血圧とは、安静にしている状態でも慢性的に血圧が高い状態を指します。自覚症状があまりあらわれないため、高血圧だとわかっていても放っておいてしまう人が多いといわれています。

高血圧になると血液の圧力で常に血管へ負担がかかるので、血管の内壁が傷ついたり柔軟性がなくなって硬くなったりします。血管が硬く狭くなることを動脈硬化と呼び、脳に酸素や栄養が十分に運ばれず、障害を引き起こすことがあります。
このような状態を脳血管障害といい、それによって引き起こされる病気が脳卒中です。
脳卒中には血管が詰って脳に血液が流れなくなる脳梗塞、脳の血管が破れて出血する脳出血、くも膜下出血などがあります。

高血圧によって引き起こされる病気のなかには心臓の機能に障害を起こすものもあり、これを高血圧性心疾患と呼びます。高血圧性心疾患には心臓の壁が厚くなる心肥大や、心筋に血液を送る冠動脈が詰まる冠動脈疾患がよくみられ、高血圧心疾患だと不整脈、心不全、狭心症、心筋梗塞などの発症リスクが高まります。

他にも、眼底検査を受けて初めてわかる高血圧性網膜症も、自覚症状がほとんどないため注意が必要です。網膜の出血、白い斑点、むくみなどが見られることがあり、放置しておくと血管が破れて網膜剥離が引き起こされる可能性があります。網膜剥離によって極端に視力が落ちるケースもあるため、高血圧性網膜症は体内で血管にどのような変化が起きているかを知るきっかけにもなります。

高血圧が腎臓病を招くことも

高血圧によって引き起こされる病気には、腎臓病もあげられます。

腎臓は血液をろ過し、老廃物として尿を作り体外に排出する働きがありますが、高血圧になると腎臓にあるたくさんの毛細血管の働きが悪くなり、体内の水分量の調節がうまくできません。
腎臓の機能が低下すると高血圧がさらに悪化したり、糖尿病や脂質異常症、肥満を発症しやすくなったりします。最悪の場合腎不全となり、腎不全になると血液をろ過することができないため、人工透析をおこなう必要が出てきます。

高校生も高血圧になることがあるって本当?

男女で多少の差はありますが、10代の子供の血圧は成人よりも低いです。

小学生(高学年)は135/80mmHg以上を高血圧とし、中学生は男子が140/85mmHg以上、女子が135/80mmHg以上で高血圧とされます。高校生は140/85mmHg以上が高血圧と定められており、高血圧の基準値も成人と未成年とでは異なります。

ところが近年、塩分やカロリーの高い食生活の影響で小学生(高学年)から高校生の1~3%に高血圧が見つかっています。子供の高血圧は程度が軽く症状があらわれないことが大半ですので、気づかないうちに心疾患や成人の高血圧に繋がることも考えられます。
子供であっても定期的に血圧の確認を行い、食生活を見直していくことが大切です。

おわりに:高血圧は放置しておくと重大な病気に繋がる可能性が!

一般に血圧は高齢になるほど高くなる傾向があります。しかし日本では比較的若い世代でもすでに多くの人が高血圧であり、ほとんどの人が治療を受けていません。ある日突然脳卒中や心筋梗塞を起こすことも珍しくはありませんので、しっかりと自分の血圧を知り、病院を受診して医師の指導を受けることが大切です。

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