乳腺炎と食事に関係はある?ない?食事制限はいつまで取り組むべき?

2018/5/1

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

授乳トラブルを避けるため、普段の食事に気を配っていますか?
「乳腺炎と食事は、深く関係している」というのは何となくイメージできますが、具体的に何に気をつければいいのかをご存知でしょうか?そもそも、その考え方を信頼してもいいのでしょうか。
今回は乳腺炎と食事の関係について詳しくご紹介していきます。乳腺炎防止と授乳中の献立作りに役立ててください。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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食事は乳腺炎発症に関係あるの?

WHO(世界保健機関)は、乳腺炎と食べ物の関係性について、根拠がはっきりしていないという見解を出しています。しかし現状では乳腺炎と食べ物についての関係性を調査中ということもあり、両者にまったく関係性がないと言い切れないのも事実です。

「和食を中心にして、乳腺炎を予防する」という考えも根強くあります。これは、1980年代発売の「桶谷式乳房管理法」という書籍や1990年代頃に開始された「日本母乳の会」の影響があると考えられています。

また「乳腺炎と食事に関係がある」といわれているのは、母乳は血液から作られるため、お母さんが口にするものが母乳に影響するという考え方からきています。

たとえば、高カロリーな食事を摂ると、母乳がドロドロになって乳腺が詰まりやすくなり、乳腺が細い人は母乳の流れが悪くなりやすいので乳腺が詰まりやすくなるといわれています。このような場合は、乳腺の詰まりを予防するために食事に気をつけた方がいいと考えられています。

乳腺炎を防ぐためには乳製品を控えたほうがよい?

母乳は血液から作られているため、食事と母乳に何らかの関係があるのでは、という考えがあります。
例えば、母乳育児中に避けた方がいい食品として乳製品があげられます。これは「チーズや牛乳などの乳製品は高脂肪のものが多いため乳腺炎を起こしやすい」という考え方からきていますが、両者の関係性が十分に認められているわけではありません。

ただし、バターや生クリーム、加糖タイプのヨーグルトなどは、乳製品の中でも特に脂肪分が多いため、食べ過ぎない方がいいといわれています。これはアイスクリームやショートケーキ、ピザなども同様です。

乳製品を絶対に摂ってはいけないということではありませんが、食べ過ぎないように、日頃から気をつけて食事を摂るようにしましょう。

食事はいつまで気をつければいいの?

授乳トラブルを防ぐためには、基本的に母乳育児のスタートから、母乳を止める卒乳・断乳時期までは食事内容を意識した方がいいといわれています。食事制限といっても難しいものではありません。カフェインや煙草、アルコールに注意する程度でいいと考えられています。

また肉類やカレー、糖分の多いスポーツドリンクなどが乳腺炎の原因になるということに科学的根拠なく、体質は一人ひとり違うので、食事にどんなに気をつけていても乳腺炎になってしまうこともあります。自分の体の状態と日々向き合いながら食事内容に気をつかっていくことが大切です。

ただし、自己判断での食事制限はお母さんが栄養不足になってしまうおそれがあります。しっかりと病院から栄養指導を受けるようにしてください。

乳腺炎予防で、食事メニューに取り入れたい食べ物は?

「まごはやさしい」という言葉、病院などで耳にしたことはありませんか。これは、母乳にいいといわれている食べ物のキーワードになっています。

ま ・・・ 豆(豆製品)

豆腐や納豆、大豆など良質なタンパク質を豊富に含んだ食品です。豆類は栄養価もよく、低カロリーなため、授乳中は積極的に摂取するといいでしょう。

ご ・・・ごま(種実類)

ごまやアーモンド、くるみなどミネラルや脂質、タンパク質を豊富に含んだ食品です。刻んだり、切ったりすることで効率よく摂取できます。

わ・・・わかめ(海藻類)

わかめやひじきなど、鉄分やミネラル、カルシウムなどを豊富に含んだ食品です。海藻類は栄養価もよく、低カロリーなため、授乳中は積極的に摂取するといいでしょう。

や・・・やさい(野菜類)

トマトやほうれん草など、ビタミン類やβカロテンなどを豊富に含んだ食品です。野菜を多く摂ることで体内の水分量が増え、飲みやすい母乳になるといわれています。

さ・・・さかな(魚類)

鮭や青魚など、タウリンやDHAを豊富に含んだ食品です。特に「くる病」を予防できるビタミンDを多く含んでいるため、積極的に摂取するといいでしょう。

し・・・しいたけ(きのこ類)

しいたけやしめじ、まいたけなど食物繊維やミネラル、ビタミンなどを豊富に含んだ食品です。特に「くる病」を予防できるビタミンDを多く含んでいるため、積極的に摂取するといいでしょう。

い・・・いも(根菜類)

じゃがいもやレンコンなど、食物繊維を豊富に含んだ食品です。根菜類には体を温める食材といわれており、血流をよくする効果があるとされています。

おわりに:食事に気を配ることで、マイナスになることはありません。

食事と乳腺炎の関係に十分な根拠がないとはいえ、食事に気をつけて生活することは自分自身の健康はもちろん、赤ちゃんの健康を守ることにもつながります。神経質になりすぎてストレスを溜めることもよくないですが、できることから取り入れて授乳トラブルを予防しましょう。

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