記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/8 記事改定日: 2019/2/19
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ヘルペスはヘルペスウイルスに感染することで発症し、一度感染してしまうと免疫力の低下などをきっかけに何度も再発してしまうことがあります。では、ヘルペスのようなできものができたときは、何科を受診すればいいのでしょうか。
ヘルペスができる部位ごとでまとめているので、参考にしてください。
ヘルペスは、ヘルペスウイルスによって発症する感染症です。ヘルペスウイルスは8種類あり、感染するウイルスによって症状は変わってきます。
その代表的なもののひとつが、「単純ヘルペスウイルスⅠ型」による口唇・口腔内ヘルペスです。
口腔内にヘルペスができた場合は、金属アレルギーなどによる口内炎との鑑別を行う必要があり、歯科で診てもらうこともできます。
ただし、口腔内の診療のできる歯科・口腔外科である必要があるので、事前に確認が必要です。歯科・口腔外科以外にも、皮膚科や口腔内の診療のできる内科で治療することもできます。
口唇ヘルペスの症状は、患部を清潔に保つことで1~2週間程度で自然に治まりますが、重症化したり再発を頻繁に繰り返すと、水ぶくれの部分がただれてあとが残ることがあります。ヘルペスが疑われたら早めに受診し早期の治療を行うことで、症状を軽く済ませることができ、回復も早いといわれています。
治療は、ウイルスの増殖を抑える抗ヘルペスウイルス薬(外用薬・内服薬)が処方されます。再発しやすい病気なので、医師の指示をしっかりと守って治療に専念することが大切です。
目の周りやまぶたに発疹があらわれた場合、目に結膜炎の症状があれば皮膚科と眼科の両方に行くのが良いでしょう。特にヘルペスの場合には、皮膚の症状だけでなく目の中にも炎症が起きることも多く、はじめに皮膚科に行っても眼科の受診をすすめられることもあります。
ただし、目の症状は皮膚の症状から1週間ほど遅れてあらわれることが多いため、目の周りに症状が出てすぐに眼科に行った場合は、もう一度診察を受けるよう言われる場合があることは理解しておきましょう。
ヘルペスが角膜に感染すると「角膜ヘルペス」を起こし、眼科で薬物療法が行われますが、皮膚の症状が強いときには点滴を行うこともあり、基本的に皮膚科と眼科の両方で診察をしていくことになります。また、ヘルペスウイルスの一種が引き起こす「眼部帯状疱疹」では、片側のおでこや頭皮、目の周りに腫れや痛みをともなう水ぶくれができ、見えにくい、目が充血するなどの症状が出てきます。
重症の場合には後遺症として見えにくさが残ったり、適切な治療を行わなければ深刻な眼病から失明につながる可能性もあるので、目の周りにできものができたときは、すぐに眼科を受診しましょう。
鼻にできものができた場合、鼻の表面に発生する「にきび」や「しこりのあるアテローム」などは皮膚科での治療になりますが、鼻の中のできものや鼻の穴の周辺に発生するヘルペスなどは、皮膚科と耳鼻科のどちらでも治療可能です。病院によっては内科で診てもらうこともできます。
口唇ヘルペスの水ぶくれが破れてウイルスが周りに飛び散った状態になって、鼻や頬などにヘルペスが拡大してしまった場合などは、まずは皮膚科で診てもらうのが良いでしょう。鼻にできものができる原因はいろいろありますが、ヘルペスの水ぶくれの内部ではウイルスの増殖が進んでいます。この時点でウイルスが蔓延しているので、直接触ったりせずに早めに受診するようにしてください。
耳は聴覚とともに平衡感覚をつかさどっている部位です。耳が痛む場合、子供なら急性中耳炎が疑われますが、耳や耳の周辺部にヘルペスができているときは、「ラムゼイ・ハント症候群」(「ハント症候群」、「耳性帯状疱疹」)となる可能性があります。
これは「水疱・帯状疱疹ウイルス」を原因とする感染症で、初めての感染では「水ぼうそう」を発症し、顔面神経麻痺や難聴、耳鳴り、めまいなどを起こし、後遺症が残ることもあります。
顔面に水ぶくれや赤みが出たら皮膚科を、難聴やめまい、耳鳴りなどの症状が出たら耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。
症状によっては脳外科や内科の受診が必要になることもありますが、治療の開始が遅れないためにも、まずはすぐに皮膚科か耳鼻咽喉科を受診するようにしてください。ラムゼイ・ハント症候群は、再発することはありませんが、治療開始が遅れると約50%~60%の人に後遺症が残る可能性があるといわれています。疑いのある場合には、すぐに病院で受診することが重要です。
ヘルペスは、口唇部やその周辺などにピリピリとしたかゆみや痛みが前兆として現れ、半日ほどで赤い発疹が生じます。治療を行うには、症状が出始めた初期段階で開始した方が重症化する可能性も低く、発疹を最小限に抑えることができます。
特に発疹が現れる前にピリピリ感がある段階で抗ヘルペス薬を内服すれば発疹の発症を予防することもできますので、疑わしい症状がある場合は早めに病院を受診して治療を開始するようにしましょう。
ヘルペスは、皮膚科以外にも、口唇ヘルペスなら口腔外科で、目の周りなら皮膚科、眼科で、鼻の中などや耳なら耳鼻咽喉科でも診てもらえます。また、病院にもよりますが内科でも対応が可能です。特に目の周りや耳の周りのヘルペスは、後遺症の危険がある別の病気を発症させる可能性もあるので、早めに受診するようにしましょう。