口唇ヘルペスは他の部位にうつるの?どこまで回復すれば大丈夫なの?

2018/5/15 記事改定日: 2019/2/18
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

唇の周りに水ぶくれができるのが特徴の「口唇ヘルペス」は、目や陰部などその他の部位にうつることはあるのでしょうか?感染を拡大させないために知っておきたいことや、市販の塗り薬なども併せてご紹介します。

口唇ヘルペスは他の場所にうつる?

口唇ヘルペスは直接触れることで感染を広げるということを理解しておきましょう。
例えば、目に感染してしまうと角膜ヘルペスを発症することがあり、最悪の場合、失明する可能性もあります。

予防策

患部をむやみやたらと手で触れないようにします。薬を塗るなどの際に触ったときには、速やかに手を洗ってください。また、手を拭くタオルは自分専用にしましょう。共用していると、他の人に口唇ヘルペスをうつしてしまいます。

次に、口唇ヘルペスの症状が出ているときには、唾液にもヘルペスのウイルスが含まれている可能性があります。唾液が付きやすい食器類や箸も自分専用とし、食後はしっかりと食器用洗剤で洗い、よく乾燥させてください。

特に気を付けてほしいのが、コンタクトレンズを使用している人です。コンタクトレンズを着用する際に唾液がついた手をつかうと、口唇ヘルペスに感染する可能性が高くなります。コンタクトレンズを装着する時には、手をきれいに洗い必ず生理食塩水を使用するようにしましょう。

口唇ヘルペスが陰部にうつることもある?

口唇ヘルペスは、性行為をすることで唾液や精液を介し陰部にうつることもあります。口唇ヘルペスの症状が見られるときには、性的接触を避けることが一番です。

特に、ヘルペスウイルスの抗体を持っていない場合には、症状が重症化することもあるでしょう。日頃からパートナーと病気について話し、知識を持っておくことはお互いの身を守るためにも大切です。

また、陰部に感染してしまい水ぶくれができている場合には、患部が便座に触れないように注意しましょう。患部をガーゼなどで覆ったり、トイレの使用前後にはエタノール消毒をするなど、知らず知らずのうちに感染を広げないようにしてください。

口唇ヘルペスは再発しやすい感染症です。ただし、口唇ヘルペスが陰部に感染した場合には、再発することはまれです。

口唇ヘルペスの市販の塗り薬

口唇ヘルペスの薬には、塗り薬と飲み薬があります。このうち、塗り薬は薬局や薬剤師が常駐するドラッグストアで購入することができます。市販されている口唇ヘルペスの塗り薬のうち、代表的な物は次の3つです。

  • アクチビア®
  • アラセナS®︎
  • ヘルペシア®︎

ただし、この市販薬は過去にヘルペスの診断を受けたことがなければ、購入することはできません。口唇ヘルペスは、他の皮膚疾患に比べると症状が特徴的です。しかし、似た症状の他の病気もあるため、仮に自己判断で口唇ヘルペスの薬を使用した場合、症状が悪化するまで他の病気かどうかがわからず、正しい治療につなげることができません。

また、口唇ヘルペスの場合、初回感染では症状がひどくなることが多く、塗り薬だけでは治療の効果が不十分になることもあります。そのため、市販薬は「口唇ヘルペスの再発(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る)」という注意書きがされているのです。過去に口唇ヘルペスの診断を受けたことがない人は、まず医療機関を受診するようにしましょう。

口唇ヘルペスは、どんな状態になればうつらないの?

口唇ヘルペスは、水疱がかさぶたになって、かさぶたが剥がれ落ちる段階になれば周囲に感染を拡げる可能性はほとんどなくなります。
水疱内には多量のウイルスが含まれており、水疱からはウイルスが含まれた浸出液が排出されています。この浸出液が感染の原因になりますので、水疱が潰れた痕のかさぶたがなくなるまでは、他の部位や周囲の人に感染を拡げないよう以下のような対策を行いましょう。

  • 塗り薬を使用した後はしっかりと手洗い・手指消毒を行う
  • コップや食器の使いまわしはしない
  • キスや性行為は控える
  • タオルや寝具などは使い分ける

おわりに:口唇ヘルペスは感染を広げやすいので注意が必要

口唇ヘルペスは、感染しやすい皮膚疾患の1つです。もし口唇ヘルペスの症状が見られたときには、感染を広げないようにしましょう。まめに手洗いをし、タオルや食器の共用をしない、性的接触は控える、この三点だけでも感染をぐっと減らすことはできます。早く治して健康的な生活を送るためにも、感染予防に心がけましょう。

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