記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2018/7/28
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
緑内障は、自覚症状がないままに進行してしまい、気づいたときにはすでに失明寸前ということも少なくありません。大切なのは日々の目の異変をチェックし、定期的に眼科の診察を受けることですが、日頃から予防のためにできることはあるのでしょうか?緑内障の予防法について解説します。
緑内障は遺伝的な要素に加え、加齢、喫煙、自律神経失調症、糖尿病、高血圧、近視などの要因が加わり発症するとされています。初期には症状が見られないことが多いので、生活習慣やストレスに気をつけるとともに、定期的に眼底、眼圧、視野などの検査を受けて早期発見に努めることが大切になります。
また、長時間うつむいたまま仕事をする、ネクタイで首を強く締め続ける、大量のカフェインを摂取する、抗うつ剤の服用などをすると、眼圧を高めてしまう可能性があるので注意が必要です。
緑内障の原因となる眼圧の上昇は、眼球の中に房水(※)がたまることにより起こります。眼圧を上げないためには、房水が眼球内で滞らないように水はけを良くすることが重要になります。また、目のまわりの静脈で血流が滞ると、排出されるはずの房水が眼球内にたまり、眼圧を上げてしまうので、目の周囲の血流を上げることも大切です。
緑内障を予防するために今すぐできる習慣として、「スマホの水平使い」「いびき止め」「ネクタイゆるめ」「禁煙」などが推奨されます。
※「房水(ぼうすい)」とは目の中を循環する液体のことで、房水の循環によって、眼内がほぼ一定の圧力になり、眼球の形状が保たれます。そのため、房水の生産のバランスが崩れて眼圧が上昇すると、視神経が障害されやすくなり、緑内障になるリスクが高くなってしまいます。
うつむいた姿勢になると、頭部への血流が低下し、目の周囲の血流が滞ってしまいます。そのため、スマホを見る時はうつむかずに、スマホを地面に対して垂直になるよう立てて持つようにしましょう。視線が水平になるよう心がければ、目の周囲の血流が滞るのを防げる可能性があるため、房水の排出がスムーズになります。
いびきの原因で多い睡眠時無呼吸症候群の人は、緑内障になるリスクがおよそ10倍高いとされています。また、睡眠時無呼吸症候群は比較的太っている人に多いとされているので、該当する人は緑内障予防のためにダイエットを心がけましょう。また、普段口呼吸になっている人は鼻呼吸を心がけましょう。
首をしめ付ける服装は、頭部への血流を悪化させ、眼圧が上がりやすくなるという海外の研究結果があるので、首まわりのきついシャツやネクタイの締めすぎには注意しましょう。可能であれば、緑内障予防のためにシャツの第一ボタンを外しておきましょう。
タバコは血流を悪化させるとともに、活性酸素が目の組織を痛めつけます。海外の調査では、喫煙者は緑内障のリスクが約2.8倍にもなるという結果報告もあります。緑内障予防のためには禁煙を心がけましょう。
このように緑内障を予防するためにできることは、日常生活の中にもあります。逆にいえば、日頃の習慣が原因で緑内障になるリスクを高めている場合もあるのです。病院で定期的な検診を受けることはもちろんですが、普段の生活で改善できるところは直していきましょう。