記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
近年、漢方によって頭痛を軽減させるというアプローチが注目を集めていますが、病院で処方されることの多い漢方にはどんなものがあるのでしょうか。それぞれの効果も併せてご紹介していきます。
頭痛の緩和に効果的な漢方として、病院で処方される頻度の高いものをいくつかご紹介します。
漢方では、体の冷えを頭痛の原因の一つと捉えます。具体的には、胃に水分が停滞して体が冷え、その水分が頭まで衝き上げたことで頭痛が起こる、というメカニズムです。
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)はそんな習慣性の片頭痛や、吐き気を伴う頭痛の緩和に効果的です。冷え性で体力中等度以下の方に適しているといわれています。
漢方では、胃腸の機能が低下していると、体の中心に蓄えておくべき熱が上の方まで浮き上がって、頭痛を引き起こすことがあると考えられています。桂枝人参湯(けいしにんじんとう)は、そんな胃腸症状を伴う人の、頭痛や動悸の緩和に使われる漢方です。冷えからくる症状に効果を発揮するといわれています。
五苓散料(ごれいさんりょう)は、「水毒」(体内の水分やリンパ液の流れが悪くなった状態)の緩和に効果的とされる漢方です。具体的には、雨が降る前の頭痛や、悪心嘔吐を伴うような頭痛、めまい、むくみなどを改善する効果があるとされます。
川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)は、風邪からくる初期の頭痛や、寒気、発熱などに効果があるとされる漢方です。体を温める作用のある香附子(こうぶし)と、体力が落ちたときに頭痛を緩和する細辛(さいしん)という生薬が配合されているため、体調不良時や冷えからくる頭痛にも効果的といわれています。
漢方の中でもよく知られている葛根湯は、肩こりや首こりからくる緊張型頭痛の緩和に効果的とされています。なお、寝違えたときなどに起こる筋緊張からくる頭痛にも効くといわれています。
釣藤散(ちょうとうさん)は、体力中等度で、めまいや肩こりを伴う慢性頭痛をもつ人に効果を発揮する漢方です。
ストレスや加齢による血圧の上昇は、頭痛やめまいの要因の一つですが、漢方医学では、こうしたストレスなどによって高血圧状態になる人を「気」が上昇していると捉えます。そして釣藤散は、この「気」の上昇を抑制し、「血」の巡りを整える作用があると考えられています。その点から、ストレスや高血圧からくる頭痛の緩和に効果的な漢方といえます。
頭痛のタイプや随伴症状、そして個人の体質によって適した漢方は異なります。漢方薬での頭痛の治療をご希望の方は、服薬前に必ず医師や薬剤師に相談し、ご自身の症状に合ったものを処方してもらうことが重要です。