記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/31
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ADHDの発症理由は、脳機能や家庭環境、遺伝などさまざまな情報がありますが、実際はどれが正しいのでしょうか?また遺伝するとしたらどの程度遺伝する確率があるのでしょうか?ADHD発症の原因や遺伝などについて解説していきます。
ADHDは遺伝する可能性があるとされている発達障害ですが、必ず遺伝するとは限りません。
親や兄弟がADHDを発症した場合でも、他の家族にも必ず発症するというわけではないのです。
親がADHDを発症している場合、その子供に遺伝する確率は50~80%(平均70%)とされています。
ADHDは遺伝する可能性がある病気だとされていますが、その発症に至る特異的な遺伝子はまだ明らかにされていません。
発達障害は兄弟・姉妹で発症することがゼロではないことが、研究により明らかにされています。
兄弟で発症する場合がある理由としては、遺伝的な要因となる遺伝子を共通して保持している可能性が指摘されています。ただし、環境要因によっても左右されるため、例え一卵性双生児で、片方に発達障害がある場合でも、もう一人が100%発症するとは限らないのです。
ADHDの発症要因ははっきりわかっていませんが、親の最終学歴が義務教育のみの場合と、大学卒業者の場合では、ADHDの子供が生まれるリスクが異なるという報告があり、収入額が低い、定職がないことなども関係があることが指摘されています。
また、離婚やシングルペアレントはADHDのリスクを高める可能性があり、子供への愛情不足、育児環境が整っていない、夫婦間の争い、親の付き合う相手がよく変わることなどは、子供の脳機能障害を引き起こす可能性が高いといわれています。
そのほか、前科のある親を持つ子供や精神障害のある母親を持つ子供、里親に出されたり、施設や孤児院にいた経験のある子どもは、ADHDのリスクが高まるといわれていますが、明確な関連性が証明されているわけではありません。遺伝、環境要因についても、あくまでも可能性であるということを理解しておきましょう。
結論から言うと、ADHDが子供に遺伝する可能性はあります。しかし、必ずしも遺伝するとは限らないのも事実です。また、ADHDの発症原因として環境的要因も関わってきます。子供がADHD発症するリスクを下げるためにも、心当たりのあることは改善していきましょう。ただし、あくまでも可能性の話なので、家族にADHDがいたり、環境要因に当てはまることがあるからといって、悲観しすぎないようにしてください。