記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/21 記事改定日: 2019/2/27
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
日々のデスクワークなどで首こりや肩こりが慢性化している人の多くは、頭痛を併発している傾向にあります。今回はそんな首こりと頭痛の関連性について解説していきます。
近年、首こりからくる頭痛にお悩みの方が増えつつあるといわれています。
首の後ろには、4つの筋肉から編成される「後頭下筋群」が存在しているのですが、日々のデスクワークで悪い姿勢を続けていると、これらの筋肉群が徐々に硬直していきます。この後頭下筋群の近くには頭や目などに関連する神経が密集しているため、凝った後頭下筋群に圧迫されると、ズキズキという頭痛や目のかすみなどが生じるようになる可能性があると考えられています。
なお、猫背の姿勢は後頭下筋群のこりにつながる主要因です。PC業務などのときに、猫背の姿勢で顔を正面に向けていると、頭の重みが後頭下筋群に集中するようになるからです。
頭痛と肩こり、吐き気の原因として、「ストレートネック」が考えられます。
ストレートネックとは、本来S字であるべき首の骨が真っ直ぐになっている状態のことです。デスクワークなどで猫背を続けていると、首が下がり、ストレートネックになりやすくなります。
首の骨が本来のS字であれば、頭の重みを分散して肩の負担を軽減させることができるのですが、ストレートネックになると、負担が分散できず、肩こりが起こるようになります。すると首の骨の中にある脊髄にも負担がかかり、さらに脊髄の中にある自律神経の切り替えがうまくいかなくなることで、頭痛やめまい、吐き気などが引き起こされるようになるのです。
頭痛と同時に首のこりが現れた場合、原因として以下が考えられます。
片頭痛発作が増えると、脳内の頭痛回路が首の後ろ側にまで伝達することで、後頸筋群に痛みのしこりが発生することがあります。片頭痛はズキズキと脈打つような痛みが特徴で、頭の片側で起こる場合が多いです。吐き気を伴うことも少なくありません。
デスクワークで悪い姿勢を続けていたり、ストレスなどから首や肩の筋肉が緊張することで、首や肩に凝り固まったようなしこりと頭痛が生じることがあります。これが緊張型頭痛です。緊張型頭痛の場合は、頭の両側が締め付けられるような痛みが特徴となります。
以下はとても稀ではありますが、あまりに頭痛が強い場合は念頭に置く必要があるかもしれません。
頸椎椎間板ヘルニアになると首の後ろや肩などにこりや痛みが出ることがあり、凝り固まった筋肉が頭痛を引き起こしたり、直接頭痛を引き起こすことがあります。軽い痛みですむ場合もありますが、我慢できないほどひどい痛みになることもあります。
上咽頭に悪性腫瘍が発生すると、頭痛や首のしこり、滲出性中耳炎(中耳腔に液体が溜まり、音が聞こえにくくなる)、複視(ものが二重に見えるなど)といった症状が現れることがあります。
脳動脈瘤が破裂して血管が破れ、くも膜と軟膜の間に血液が溢れてしまうことで、主に後頭部にバットで殴られたような激しい頭痛が生じます。出血が重度の場合は激しい嘔吐やけいれん、意識障害を伴うのが特徴で、最悪の場合死亡することもあります。
出血が軽度の場合には、首筋のこりや重度の肩こりを自覚症状とするケースもあります。
後頭部の強い痛みと吐き気、高熱、首筋のこりを併発している場合は、くも膜などの炎症からくる髄膜炎の可能性があります。ウイルス感染によるウイルス性髄膜炎は自然治癒するケースが多いですが、細菌感染による細菌性髄膜炎の場合は、治療が遅れると命を落とす恐れがあります。高熱を伴う頭痛の場合はすぐに病院を受診しましょう。
首のこりと頭痛が同時の生じる場合は、くも膜下出血や髄膜炎などの非常に重篤な病気が潜んでいる場合があり、絶対安静が必要となります。また、頚椎椎間板ヘルニアなどが原因の場合は、無理なストレッチをすることでかえって症状がひどくなることも少なくありません。
一度病院で診てもらって、医師が問題ないと判断した場合はストレッチを行ってもよいですが、自己判断で行うのは大変危険なので控えるようにしましょう。
また、首のストレッチは誤ったやり方を続けると、首を痛めることもありますので、理学療法士などの専門家の指導のもとで正しく行うようにしましょう。
猫背の姿勢が癖になっている方は、首こりからの頭痛に要注意です。猫背が続くとストレートネックになってしまい、吐き気も併発するなど重症化してしまう恐れがあります。
また、首のこりやしこりと頭痛は、がんや髄膜炎など重篤な病気のサインのケースもあるので、異変が見られたら早めに病院で検査を受けるようにしてください。