不眠症とうつの関係性とは?それぞれどんな特徴があるの?

2018/5/24 記事改定日: 2019/1/29
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

不眠症は、特にうつ病患者によく見られるといわれています。今回はそんな不眠症とうつ病の関係性や、両者での症状の違いについて解説していきます。

不眠症とうつの関係は?

不眠症とうつ病には相関関係があり、不眠はうつ病の初期症状の一種といわれています。
また、慢性的に不眠の状態が続いていると、うつ病の発症リスクが上がるという研究結果も発表されています。

これは海外での8000人を対象とした研究ですが、調査開始時とその1年後に不眠の症状が継続的に出ていた人は、そうでない人と比べ、うつ病の発症割合がおよそ40倍になったとのことです。

なおこの研究では、調査開始時に不眠症であっても、その後不眠症が解消した人であれば、うつ病の発症率がよく眠れている人と同程度に低かったこともわかっています。

つまり、不眠症患者は早期に治療を開始し改善することで、うつ病を予防できる可能性があるのです。

うつ病に多い不眠の症状は?

まず、不眠症の症状には以下の4種類があります(複数の種類の症状を併発する場合もあります)。

入眠障害
布団に入ってから、2時間以上寝つけない
中途覚醒
入眠後、夜中に何度も目が覚め、再度入眠できない
早朝覚醒
朝の起床予定時刻より2時間以上早く目覚め、再度入眠できない
熟眠障害
睡眠時間自体は短くないが、眠りが浅いために熟眠感が得られず、疲労がとれない

またこれらの症状に加え、倦怠感や集中力・記憶力の低下、イライラや抑うつ、日中の眠気、動悸、頭痛、肩こり、消化器症状、睡眠に対する不安感など、日常生活に影響する症状が見られることがあります。

うつ病の場合は中途覚醒と早朝覚醒がみられることが多いです。もし2週間以上にわたって中途覚醒や早朝覚醒の症状が続いている場合は、うつ病の可能性があるので注意しましょう。

うつ病では不眠症状に加えて、抑うつや意欲の低下、集中力の低下などの精神症状や、食欲不振、倦怠感、動悸やめまい、便秘、性欲の減退、頭痛、肩こり、腰痛などの身体症状もみられます。また重症化すると、自殺念慮が出る恐れもあります。

このように不眠症とうつ病の症状は似ている部分があり、また先述の通り、両者には相関関係があります。

不眠や抑うつの症状が見られたら、精神科や心療内科をまずは受診し、専門医からの診断を受け、治療を進めていくことが大切です。

不眠症やうつ病の病院での治療方法は?

不眠症やうつ病の治療は薬物療法が主体となります。
とくに、うつ病が原因の不眠症の場合は、うつ病の治療を強化する必要があり、そのためには抗うつ薬や抗不安薬などの投与が行われます。
これらの薬には様々な種類があり、それぞれの症状に合わせた薬が組み合わされて処方されます。

うつ病の治療を開始すると不眠傾向も自然とよくなることが多いですが、中には抑うつ気分は改善しつつあるものの不眠が改善しないというケースもあります。
そのような場合には、睡眠薬の投与が行われます。

しかし、睡眠薬の服用によって日中の眠気などが引き起こされ、かえってうつ病を悪化させてしまうこともありますので、治療は医師の指示に従って行い、気分の落ち込みなどの不調が見られた場合は速やかに医師に相談する必要があります。
そのほかの治療法としては、カウンセリングや認知行動療法などの精神療法が行われることもありますが、効果には個人差があります。

おわりに:不眠がうつ病を招くことも。日常的な不眠症対策を

不眠症はうつ病の初期症状の一種であり、また不眠自体がうつ病の発症リスクを上げる要因ということがわかっています。うつ病の発症や悪化を防ぐためには、安定的な睡眠をとれるよう、寝室の環境を整えたり、根本的なストレスを解消することが大切です。ただ、一度不眠症になってしまうと自力での改善が難しいことも多いため、専門医の力を借りることも重要です。

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