ADHDの人に起こりやすい仕事のトラブルの特徴と予防対策とは?

2022/12/22

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士 呼吸器内科専門医

山本 康博 先生

ADHD(注意欠陥・多動性障害)の人が職場にいるとき、「ちょっとした工夫」をすることでADHDの人に起こりやすいトラブルを回避できる可能性があります。このような工夫は円滑に仕事が進むだけでなく、ADHDの人の能力を発揮するきっかけになる場合もあるのです。この記事では、ADHDの人に起こりやすい仕事のトラブルと、トラブルを予防するためにできる対策について解説していきます。

ADHDの人に起こりやすい仕事でのトラブルとは?

ADHDの特徴には多動性、不注意、衝動性の3つがあり、これには脳の前頭前野の働きが関与していると考えられています。そして、これらのADHDの特徴は、仕事など社会生活を送る上で、以下のような失敗経験・トラブルにつながることがあります。

多動性

多動性は、漢字が示すように「動きが多い」ことです。大人では激しい動きは落ち着く傾向にありますが、髪など身体の何処かを常に触ったり、貧乏ゆすりなど身体を動かしていたりする様子がみられる傾向にあります。周囲の人からは、落ち着きがないと思われることがあります。

不注意

不注意は、気が散りやすく、集中することが難しい状態です。また、1つの物事を順序だてて組み立てることも苦手なことがあります。仕事上では、ケアレスミスが多い、約束が守れないといったトラブルが起こりやすい傾向があり、対外的なトラブルに繋がる可能性もあります。

衝動性

衝動性は、思いついたら立ち止まることなく、すぐに発言や行動をしてしまう状態です。衝動買いによる無駄遣いや、思ったことを口に出してしまい、人間関係のトラブルに繋がることもあります。

ADHDで起こりやすい仕事のトラブルの予防対策

ADHDの人に起こりやすい仕事のトラブルは、以下のように「苦手なことに対して工夫をする」ことで対処できる可能性があります。これらの工夫は、個人によって何が適しているかは異なります。また、ADHDの人が自分自身では気づかないこともあるため、周囲の人が一緒に工夫や助言をすることも必要になる場面もあるでしょう。

仕事の段取りが決められない場合

ADHDの人は優先順位を決めにくい傾向にあり、大事な締め切りに間に合わないというトラブルが起こりやすいです。

対応例

  • 付箋でToDoリストをつくり、優先順位をつけて並べ替える
  • タスク管理用のツールやアプリを使う
  • 1人で優先順位をつけることに迷うときは、誰かと一緒に行う

上司や同僚とのコミュニケーションが苦手

ADHDの人は順序立てて話すことが苦手な傾向にあり、報告をしようと思っても内容がうまく伝わらないことがあります。また、電話を受けたとき、内容の聞き取りが不十分なこともあります。

対応例

  • 伝える内容をメモにする
  • 電話応対用のメモをつくっておく(日付、相手の名前、宛名、内容などフォーマットを決める)
  • 口頭だけではなく、メールや文書、チャットツールを活用する

ADHDの人に仕事を教えるときのポイントは?

ADHDの人に対して仕事を教えるときは、以下のポイントに注意して「少し工夫をして仕事内容を伝える」ことで、仕事上のトラブルを回避しやすくなります。

仕事は1つずつ依頼する

ADHDの人は、たくさんの事柄を処理すること(マルチタスク)が難しい傾向にあります。一度に多くのことを依頼するより、ひとつずつ端的に依頼するようにしましょう。また、順序が決められたマニュアルを渡すことで、仕事が進められる人もいます。

メモをとるようにルールを決める

ADHDの人は、指示を聞いてもあとでわからなくなってしまうことがあります。メモをとることを習慣にしてもらいましょう。

本人が集中できる環境を整える

ざわざわした環境になると、ADHDの人は気が散ってしまい、集中することが難しくなる傾向にあります。できれば静かな環境で仕事できるように工夫してください。視覚による刺激を少なくするため、壁などにも装飾がないほうが良いといわれています。

おわりに:職場全体で環境を整える工夫をすることがトラブル回避につながる

仕事ではスケジュール管理やマナーなど、学生時代より厳しいものが求められます。しかし、ADHDの人の努力だけでは、なかなか改善できないものもあります。周囲の人の助言や環境調整で、劇的に仕事の能率が改善したり、隠れていた能力を発揮するADHDの人もいます。また、ADHDの特徴には、デメリットだけでなく、仕事に役立つメリットもあります。ADHDの人がどうやったら仕事がやりやすくなるかを一緒に考えることで、職場全体の業務改善につながるかもしれません。

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