ADHDと仕事 ― どんな工夫をしてあげればいい?

2018/7/10

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

職場の同僚や後輩に、「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」の人がいる場合、円滑に仕事を進めてもらうにはある程度の工夫が必要になります。では、具体的にどんな点を工夫すればいいのか、状況別にご紹介していきます。

ADHDの人が仕事でミスをしてしまうのはなぜ?

ADHDの特徴には多動性、不注意、衝動性の3つがあり、これには脳の前頭前野の働きが関与していると考えられています。そして上記のADHDの特徴は、仕事など社会生活を送る上での失敗経験につながることがあります。

多動性は、漢字が示すように「動きが多い」ことです。大人では激しい動きは落ち着く傾向にありますが、髪など身体の何処かを常に触ったり、貧乏ゆすりなど身体を動かしていたりする様子がみられる傾向にあります。周囲の人からは、落ち着きがないと思われることがあります。

不注意は、気が散りやすく、集中することが難しい状態です。また、1つの物事を順序だてて組み立てることも苦手なことがあります。仕事上では、ケアレスミスが多かったり、約束が守れないといった傾向があり、対外的なトラブルに繋がる可能性もあります。

衝動性は、思いついたら立ち止まることなく、すぐに発言や行動をしてしまう状態です。衝動買いによる無駄遣いや、思ったことを口に出してしまって人間関係のトラブルに繋がることもあります。

ADHDによる仕事のミス、対策は?

ADHDの人は、苦手なことに対して「工夫」をすることで対処できることがあります。ケース別の、具体的な対策は以下の通りです。

仕事の段取りが決められない場合

ADHDの人は優先順位が決められず、大事な締め切りに間に合わないということが起こります。

対応例

  • 付箋でToDoリストをつくり、優先順位をつけて並べ替える
  • 1人で迷うときは、誰かと一緒に行う

上司や同僚とのコミュニケーションが苦手

報告をしようと思っても、順序立てて話すことが苦手で、内容がうまく伝わらないことがあります。また、電話を受けた際に、内容の聞き取りが不十分なこともあるでしょう。

対応例

  • 伝える内容をメモにする
  • 電話応対用のメモをつくっておく(日付、相手の名前、宛名、内容などフォーマットを決める
  • 口頭だけではなく、メールや文書を活用する

これらの工夫は、個人によって何が適しているかは異なります。また、ADHDの人が自分自身では気づかないこともあるため、周囲の人が一緒に工夫や助言をすることも必要でしょう。

ADHDの人がいるときの仕事の教え方は?

ADHDの人が同僚のときには、周りが少し工夫をして仕事内容を伝えていくと良いでしょう。ポイントをいくつかご紹介します。

依頼は1つずつ

ADHDの人は、たくさんの事柄を処理することが難しい傾向にあります。一度に多くのことを依頼するよりは、ひとつずつ端的に依頼すると良いでしょう。また、順序が決められたマニュアルを渡すことで、仕事が進められる人もいます。

メモをとるようにルールを決める

ADHDの人は、指示を聞いてもあとでわからなくなってしまうことがあります。メモをとることを習慣にしてもらいましょう。

本人が集中できる環境を整える

ADHDの人はざわざわした環境では、特に気が散ってしまって集中が困難になります。できれば静かな環境で、壁などにも装飾がないほうが刺激が少なくて良いでしょう。

おわりに:職場全体で協力して、環境を整えよう

仕事ではスケジュール管理やマナーなど、学生時代より厳しいものが求められます。しかし、ADHDの人の努力だけでは、なかなか改善できないものもあります。ADHDの人の中には周囲の人の助言や環境調整で、劇的に改善し、隠れていた能力を発揮する人もいます。ADHDの人がどうやったら仕事がやりやすくなるかを一緒に考えることで、職場全体の業務改善に繋がるかもしれません。

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