ダウン症の老人はいない?ダウン症の人が直面する課題とは

2018/5/30

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

ダウン症の人は寿命が短いと言われることが多いですが、実際のダウン症の人の平均寿命はどのくらいなのでしょうか?また、ダウン症の高齢者が直面する課題にはどのようなものがあるのでしょうか?
ダウン症の平均寿命や課題について解説していきます。

ダウン症の老人はいないの?

1975年頃の医療水準では、心疾患や感染症などのダウン症の合併症の治療が困難だったため、ダウン症の寿命は短いと考えられていました。
しかし、現在の日本のダウン症の人の平均寿命は約60歳ほどだと言われています。

アメリカ合衆国でも、1950年から2010年にかけて平均寿命が26歳から53歳になったり、70歳まで生きられる人が100人中12人ほどになったと言う報告があります。今では、ダウン症の人の平均寿命が、一般の平均寿命に近づいていると言えるでしょう(アメリカ人の平均寿命は78歳)。

ダウン症の老人が直面する課題とは

ダウン症のある人の、成人期の生活で重要なポイントは?

成人期以降のダウン症の人は、地域の作業所や企業への就職や、日中の活動を楽しむための施設に入所することができます。また、ダンス・音楽・スポーツ・書道・絵画などのジャンルで活躍を見せる人もいたり、親元を離れて生活する際に、グループホームに入る人もいます。

そのほかにも、成人期には肥満などの生活習慣病の予防・改善も重要になりますが、成人期のダウン症についての知識を豊富に持った医師は未だ少ないのが現状です。
成人期の生活で重要なのは、地域社会と関わりを持ちながら、仕事や趣味などを楽しみ、適切な健康管理をすることです。近年では、ダウン症の人の地域生活や仕事をサポートするシステムが整いつつありますが、健康管理についてはまだ体制が不十分といわれています。

30代以降に現れる認知機能の低下とは?

現在、ヨーロッパや日本などで、認知機能の低下についての臨床試験や治験が行われていますが、ダウン症の認知機能低下の原因や寿命との関係性についてはまだはっきりとは解明されていません。しかし、ダウン症の人には、「アミロイド前駆体タンパク遺伝子」と呼ばれる遺伝子が通常の人より多く存在するため、30代以降になると脳内のアミロイドタンパクの増加により、アルツハイマー病のような脳内の変化が生じると考えられています。

おわりに:成人期以降のダウン症は健康管理が課題

現在のダウン症の人の平均寿命は約60歳と言われており、一般の平均寿命に近づいていると言えるでしょう。また、成人期以降のダウン症の人の課題として、肥満などの生活習慣病の予防・改善や30代以降に現れる認知機能の低下などが挙げられます。

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