てんかんの脳波と正常な脳波の違いは?

2018/6/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

てんかんの検査では、脳波検査がとくに重要視されています。これは、てんかん患者の脳波には特徴的な波が検出されることがあるからです。
この記事では、てんかんと脳波について解説しています。てんかんの症状には個人差があり、脳波の現れ方も人によって違ってきます。この機会にてんかんの正しい知識を身につけましょう。

てんかんの疑いがある脳波と正常な脳波の違いは?

「脳波検査」は、てんかんの検査の中でもっとも重要な検査です。脳波検査は、脳の神経細胞が出すわずかな電流を記録し脳の異常を診断するもので、正常なときには小さなさざ波のような波が記録されます。
しかし、発作時にはいくつかの神経細胞が同時に電気を出して大きな電流が流れ、大きく尖った波が規則的あるいは不規則にあらわれます。

てんかん発作に関係する波は「発作波」とよばれ、棘(とげ)のようにとがった波「棘波(きょくは)」や、やや幅の広い大きなとがった波「鋭波(えいは)」、「多棘波」、「棘徐波複合」「多棘徐波複合」「14&6Hz陽性棘波」などがあります。てんかんの発作波は、かたちだけでなく出方によって、てんかん波の出ている脳の部位がある程度わかり、発作型の判断の参考になります。

脳波は「異常なし」なのに、てんかんと診断されることもある?

てんかんの原因がある程度特定できるものを「症候性てんかん」といい、原因には脳炎や脳腫瘍、脳挫傷などの外傷や先天的な皮質形成異常などいろいろなものがあります。これらの多くは、脳波検査のほか頭部CTやMRI検査でわかります。
しかし、こうした検査で異常がなく原因がわからない「特発性てんかん」というてんかんもあり、小児期から若年期に多くみられます。

脳波検査はてんかんの検査に重要なものですが、発作を起こす場所が脳の深いところにあったり異常波が出る頻度が低い場合には、脳波検査での確認は難しくなります。また、脳はいつも同じ状態というわけではないため、繰り返し記録したり発作時の記録をとることが必要な場合があります。
てんかん性の異常波が1回の検査で検出されるのは約50%、2回以上では約80%で、中には何回検査をしても異常がみつからない場合もあるといわれています。

子供の場合、てんかんの脳波にどんな特徴がある?

成人と違って子供の脳は未熟なため、脳波の特徴も違ってき」ます。赤ちゃんのときは脳の中の神経のつながり方が十分でなく、脳波は遅いゆっくりとした波が主体です。その後、年齢とともに発達して波も速く規則正しくなっていきます。乳幼児では脳波が不安定でてんかん波がとらえにくく、成長にあわせて繰り返し記録しなければいけない場合もあります。

小児に脳波では、目覚めているときに異常がみられない場合でも、寝ているときの検査ではてんかん波をみつけられることも多いため、長時間持続ビデオ脳波モニター検査(夜間も通してビデオ撮影により発作の状況と脳波を同時に記録する検査)が必要になることもあります。

てんかん発作が続くと脳の発達が妨げられてしまうので、少しでも早く診断し、適切な治療を開始することが重要です。ただし、てんかん性の脳波異常があっても発作のない小児がいたり、疑いのある脳波がみられてもてんかんとは限らない場合があることは理解しておきましょう。

おわりに:一般に正常波はさざ波、てんかん波はぎざぎざですが、異常波がみつからないことも

てんかんの疑いのある人の脳波は、ギザギザとした特徴的な波形をつくることがあります。ただし、異常波は簡単に見つかるとは限らず、繰り返しあるいは長時間にわたって記録することが必要な場合もあります。小児の発症は脳の発達にも影響するので、早目に診断し適切な治療を受けるようにしましょう。

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