記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/9 記事改定日: 2019/5/24
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
夏風邪やおたふく風邪、インフルエンザなどの感染症がきっかけで、発症することのある髄膜炎。特に子供は発症に注意が必要ですが、この髄膜炎は治療にどれくらいの期間がかかるのでしょうか?
細菌が原因による細菌性髄膜炎の場合は、2〜3週間の点滴治療が必要です。脳腫瘍などの合併症が見られる場合は、外科手術も併せて必要になるため、さらに治療期間が延びます。
一方、ウイルス性髄膜炎の場合は、適切な対症療法を行っていれば、数日から2週間程度で自然治癒していきます。
細菌性髄膜炎の場合は、抗生物質を点滴で体内に入れ続ける必要があるので、原則としては入院が必要です。ウイルス性髄膜炎などの無菌性髄膜炎であれば、自宅療養で完治することが多いため、基本的には入院の必要はありません。
ウイルス性髄膜炎などで自宅療養となった場合、まずはお子さんを安静にさせるよう留意しましょう。また、髄膜炎の主症状として嘔吐があるので、脱水症状を防ぐために水分はこまめに与えるようにしてください。
なお、ウイルス性髄膜炎の治療では体力の回復に努めることが大切なので、スープなどで塩分や栄養を少しずつとらせるようにしましょう。吐き気が強いときもあるので、無理に食べさせる必要はありません。
髄膜炎は脳の髄膜の炎症のため、髄膜炎自体が周囲にうつることはないですが、髄膜炎の原因菌やウイルスは周囲にうつる恐れがあります。例えば、おたふく風邪の原因でもあるムンプスウイルスの場合、耳下腺の腫れが出てから5日経過するまでの登園や登校は禁止されています。
このほかにも周囲への感染リスクの高い原因菌やウイルスは存在するため、子供の髄膜炎の症状が改善してきたら、一度病院を受診して、登園・登校が可能か医師に確認することが重要です。
髄膜炎は様々な細菌やウイルスによって引き起こされます。
現在、小児を対象にして行われる定期接種にも髄膜炎を発症する危険のある感染症に対するものが含まれています。具体的にはヒブ、肺炎球菌です。また、任意接種ではありますがおたふくやインフルエンザに対する予防接種も推奨されています。
ヒブや肺炎球菌の予防接種は、生後8週から接種することができ、4週間以上の間隔をあけて3回、その後一歳以降に1回の追加接種を行います。
一方、おたふくに対する予防接種は、1歳~1歳半の間に1回接種し、かかったことがない人は3~7歳までに2回目を接種することが推奨されています。
また、インフルエンザは毎年の秋頃に接種することが推奨されていますが、乳幼児には十分な効果が見られないとの考えもあるため、接種するかどうかかかりつけの医師と相談するようにして下さい。
細菌性髄膜炎の場合は入院が必要で退院まで2週間程度かかり、ウイルス性髄膜炎であれば自宅療養で5日程度で回復ができます。子供の場合は登校再開まで5日必要になることも忘れないようにしましょう。
また、海外の特定の地域にいくことがある人は、髄膜炎のワクチンの接種も検討してみてください。