記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/11 記事改定日: 2020/7/29
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
食生活の乱れが原因で発生することのある「胆石」。この胆石が原因で起こる腹痛が「胆石発作」ですが、具体的にはどんな症状が現れるのでしょうか?痛みの部位や持続時間などの特徴や、有効な対処法について解説します。
胆石とは、胆のう(胆汁を一時的に溜めておく臓器)や胆管の中で、胆汁(肝臓で作られる、脂肪やタンパク質を消化する消化液)成分が固まってできた結晶のことです。そして、この胆石に関連して起こる腹痛を「胆石発作」といいます。
痛みが出る場所や痛みの程度には個人差があり、我慢できないほどの激しい痛みを感じる人もいれば、軽い鈍痛を感じる程度の人もいます。
なお、胆石症の場合は、この胆石発作に加え、吐き気や悪心を伴うことがあります。
胆石発作は、脂っこい食事をとった後に起こることが多く、これには「食事に伴う胆のうの収縮」が関連しているといわれています。
胆のうは、食べ物が十二指腸に送られたときにそれを感知して収縮し、胆汁を腸へと送り込む働きがあります。
胆のうの出口に胆石がはまり込んでいると、胆汁が排出できない状態になります。この状態でも胆のうは収縮を続けるために胆石発作が起こるようになりますが、揚げ物などの脂っこい食事は、より胆のうの強い収縮を促す要因とされています。
胆石発作は、夕食に脂っこい食事をとることが多いことから夜間に起こりやすいといわれています。夜間の胆のう発作は、食べ物が消化されて小腸へと移動するのに伴い胆のうが弛緩すると、出口を塞いでいた胆石が外れるため、明け方くらいには解消することが多いといわれています。
お昼に脂っこい食事をとれば、日中でも胆石発作が起こることもあります。この場合の胆石発作は、食後2時間程度すると自然に治まることもあります。
胆石発作によって激しい痛みが起きている場合、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の鎮痛薬や、胆のうの緊張を緩和する薬で対処します。しかし、細菌感染を起こして胆のう炎に発展してしまっている場合は、抗生物質の投与や穿刺(胆のうに針を刺して胆汁を吸引する方法)が必要になったりします。
また、胆石がある人は胆道がんを発症するリスクが高いことから、胆石発作が定期的に起こる人の場合は、外科手術などで胆石を除去する治療が必要になるケースもあります。
胆石発作は、上でも述べた通り、脂っこい食事の摂りすぎなど食生活の乱れによって引き起こされます。そのため、胆石発作を予防するには脂質の多い食事はできるだけ控え、野菜などを中心としたヘルシーなメニューを選ぶことが大切です。
一方で、胆石発作はどんなに食事に注意していても発症を100%予防することはできません。健康診断などで胆石を指摘されたことがある人や過去に胆石発作を起こしたことがある人は、治療を継続して定期的に検査を受けましょう。
また、万が一胆石発作が生じた場合は、NSAIDsなどの鎮痛薬を使用したり、前かがみの姿勢で横になったりすることで一時的に痛みを和らげることができます。しかし、胆石が胆管に詰まると重篤な胆のう炎などを引き起こすケースもあるため、発作が生じた場合は痛みが治まってもできるだけ早めに病院を受診するようにしましょう。
腰痛や右の上腹部の痛みが特徴の胆石発作は、特に脂っこい食事をとった直後に起きる傾向にあります。対処法として痛み止めは有効ですが、根本的には手術治療が必要とされることも少なくないため、医師の指示に従いながら治療を進めていきましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。