記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/13 記事改定日: 2019/2/8
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
医療や介護施設では、認知症の患者さんにレクリエーションが行われることがありますが、このレクリエーションにはどのような効果があるのでしょうか?また実際に行うときのポイントなどはあるのでしょうか?以降で解説していきます。
認知症は、レクリエーションを行うことにより症状が緩和されることがあるため、医療や介護の現場では、下記のような目的に合わせてさまざまなレクリエーションメニューが行われています。
歳を重ねるにつれて体の機能や体力が衰えると、あまり外に出なくなったり、人と話す機会が少なくなる人もいます。レクリエーションを行うために外出して、他の人たちと話したり活動することが増えることで、日々の生活が楽しくなり、老人性うつや引きこもりの予防にもつながります。
レクリエーションの過程で、手先・体・言葉などを積極的に使うことにより、脳が活性化されると、認知症予防や症状の進行を遅らせることにつながります。
レクリエーションで楽しみながら体を動かすことで、身体機能の向上と健康の維持が期待できます。
仲間と一緒に過ごす時間を楽しみにすることで、日々の生活に張り合いが出たり、他者と積極的にコミュニケーションをとることでストレス解消につながることもあります。また、感情が安定することにより、介護者の負担も軽くなる可能性があります。
「集団レクリエーション」は、個人で行うものとは違い、集団で同じレクリエーションを行います。
例えば、体操・誕生会・季節ごとのイベント・歌・演劇鑑賞などを参加者全員で行うことで、仲間意識やコミュニケーションの向上が期待できます。
ただし、認知症の人のためのレクリエーションには、事前に確認しておくべきポイントがいくつかあり、これらのポイントを守らないとレクリエーションの効果が十分得られなくなってしまいます。
認知症症状の程度が同じくらいの人同士で6~8人のグループを作り、レクリエーションを行います。
ただし、認知症は個人によって理解力や運動能力が大きく異なるため、著しく能力が劣っていると思われる場合には、個別のレクリエーションがすすめられることがあります。
レクリエーションで行う内容は、ルールが理解しやすくシンプルなものにしましょう。ある程度の緊張感を持つことは必要ですが、そもそも内容が理解できないものでは意味がなくなってしまいます。
個人の勝敗が決まるゲームでは、負けたときにプライドが傷ついてしまうことがあります。そのため、1対1で対戦するゲームの場合はチーム戦で行い、チームの合計得点で勝敗が決まるようにしましょう。
新しく入所した人は、いきなりレクリエーションに参加するのではなく、まずは見学してスタッフに内容を説明してもらうなど、段階を踏みながら始めるようにしましょう。どんな人でも、いきなり知らない人の中に入り活動するのは緊張やストレスを伴うものです。
徐々に慣れてきて不安がなくなった頃に、参加させるようにしましょう。
レクリエーションを行っていく中で、顔馴染みの関係ができると、会話が盛り上がりレクリエーションの効果をより高めることができます。
懐かしい歌を歌うなどの、患者さんの過去(時代、出身地、大切にしてきたこと)を思い返すような内容をレクリエーションに取り入れることで、認知症の症状に改善が見られたという事例も報告されています。
認知症の人には、楽しんで行えるレクリエーションがおすすめです。また、高齢になると認知症以外にも足腰の痛みなど全身に様々な不調が現れますので、それぞれの状態に合わせたレクリエーションを取り入れるようにしましょう。
認知症の人におすすめのレクリエーションには以下のようなものが挙げられます。
認知症のレクリエーションは適切に行えば、他者とのコミュニケーションの促進、脳機能・身体機能の向上、生活に張り合いが出るなどの様々な効果が期待できます。なお、集団レクリエーションでは、認知症症状の程度が同じくらいの人同士でグループを組むなど、全員が楽しくゲームを行えるよう配慮することが重要です。