記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
椎間板ヘルニアは、椎間板が腰の神経を圧迫することで起こる疾患です。発症すると昼夜問わず激しい腰痛を引き起こし、起立や歩行だけでなく、寝返りするにも痛みを伴うようになります。
今回は、そんな椎間板ヘルニアの痛みをラクにするための寝方について、寝方以外のポイントとあわせてご紹介していきます。
椎間板ヘルニアになったときに痛みが少なくなる、おすすめの寝方は「横向きの姿勢」です。
椎間板ヘルニアは腰の椎間板に負担がかかってすり減る・変形するなどして突出し、腰の神経を圧迫して強い痛みを引き起こしています。このため、背骨をできるだけまっすぐにし、腰の椎間板に負担をかけない姿勢を取ることが望ましいとされます。
つまり、横向きに寝ることで背骨が一直線になり、腰のあたりで背骨と背骨のクッションの役割をしている椎間板への圧迫が減るため、痛みの改善が期待できるのです。
また、横向きで身体を少し丸めるような姿勢が「痛みが和らぎやすい体勢」といわれている点も、椎間板ヘルニア発症時に横向きの寝方をおすすめする理由の1つです。足は曲げても伸ばしても構いませんので、自分が一番ラクな姿勢を探してください。
ちなみに、横向きの姿勢のまま身体を軽く丸め、膝の間にクッションや布団、抱き枕などを挟むと姿勢が安定します。痛みの改善と同時に、睡眠の質の向上にも効果的ですよ。
背骨が腰のあたりで反り返り、椎間板が圧迫されて負担がかかるため、基本的には椎間板ヘルニアのときには「うつぶせ寝」は避けた方が良いといわれています。
椎間板と周辺の腰の神経を圧迫するうつぶせ寝は、姿勢そのものによって痛みが増したり、その後の寝返りで強い痛みを生じさせることも多く、おすすめできません。
ただし、人によってはうつぶせ寝がどんな姿勢よりも快適と感じる人もいます。そのため、たとえ椎間板ヘルニアを発症しても、痛みや不快さを感じてまで「おすすめの横向き」や「避けた方が良いうつぶせ寝」のルールを徹底する必要はありません。痛みや不快さを感じる姿勢で寝ることは、それだけで全身の筋肉を緊張させて腰の痛みを悪化させたり、ストレスから睡眠の質を著しく下げてしまいかねません。
患者本人が「一番ラクな姿勢」と感じる寝方が最善ですので、ここで紹介した寝方は参考程度に受け取っておき、自分のラクな姿勢を探る方が良いでしょう。
おすすめの寝方、避けた方が良い寝方とあわせて、寝方以外で椎間板ヘルニアを改善するために押さえておきたいポイントも確認しておきましょう。
まず、押さえておくべき1つ目のポイントは「精神的にリラックスした状態で寝るようにすること」です。
寝る前に考え事をしたり、イライラや不安を抱えて、精神的な興奮や緊張した状態のまま入眠しようとすると、身体にも勝手に力が入って緊張状態になってしまいます。ぬるめのお湯への入浴やアロマ、ヒーリングミュージックなど、自分にあった方法で普段から寝る前にリラックスできるような習慣づけを行うのがおすすめです。
2つ目のポイントは「特に緊張して痛んでいる腰の位置を把握し、その箇所が最もリラックスできるよう力を抜くこと」です。
一般的に、腰痛というと「腰のあたり」が漠然と痛いと感じますが、痛む箇所を自覚できればその箇所を中心に身体を労り、ラクな姿勢を探すことができるようになります。痛む箇所から力が抜けるような体勢をとり、さらに腹式呼吸で数回深呼吸することで、痛む箇所を中心に全身の緊張が解けやすくなり、余計な力が抜けていきます。
身体の緊張が解けると心の緊張状態も解けやすくなり、痛みが少なく、質の高い睡眠にもつながるので、おすすめですよ。
腰の椎間板が圧迫されて突出し、激しい痛みを起こす椎間板ヘルニアを発症したときは、腰・背骨に負担の少ない寝方がおすすめです。基本的には、背骨がまっすぐになる横向きがおすすめですが、他の姿勢がラクだと感じる場合は、自分が最もラクな姿勢をとることが症状改善への近道になります。この記事を参考に、あなたにとって一番ラクな寝方をみつけてくださいね。