アスペルガー症候群がどうかをチェックするにはどうすればいい?

2018/7/20 記事改定日: 2019/6/17
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

コミュニケーションにおいて相手との距離感をはかれない、意思の疎通がすんなりいかないなどで悩んでいる人は、アスペルガー症候群の可能性があります。
今回は「アスペルガー症候群かもしれない」と思ったときにまずは相談すべき専門機関について、その役割や診断基準をご説明していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

まずはアスペルガー症候群の特徴をチェック!

専門機関について紹介する前に、まずは、アスペルガー症候群という発達障害の代表的な症状や、特徴について解説していきます。

一般的に、アスペルガー症候群の人には以下のような特徴があるといわれています。

  • あいまいな指示や表現を理解できないため、明確な指示がないと動けない
  • その場の空気や、相手の様子から状況を察することが苦手で不適切な対応をしてしまう
  • 言葉をそのまま受け取ってしまい、きつい物言いになったり、社交辞令が理解できない
  • スケジュールや物の管理が苦手なので、時間通りの行動や整理整頓が難しい
  • こだわりが強く頑固で、自分の興味のあることにしか手を出せない
  • 順序や手順にもこだわりが強く、急な仕様や優先順位の変更には耐えられない
  • きちんと呼び掛けてもらわないと、自分に話しかけられていると気付けないことがある

上記のような「他者と感覚を共感・共有できない」「相手の気持ちや立場を想像できない」などの特徴のために、結果としてコミュニケーションが困難になるケースが多いのです。

アスペルガー症候群のチェックは専門機関で。その理由は?

前項で述べた症状・特徴に複数当てはまる場合は、アスペルガー症候群の可能性があります。ただし、アスペルガー症候群の症状の出方には個人差が大きいため、傾向が強いだけで一般の人が判断するのは難しく、最終的には医師の診断が必要になります。

アスペルガー症候群の可能性を感じたら、発症が疑われる本人の年齢にあわせて、できるだけ早く以下のような子供・大人向けの医療機関にかかってください。

子供がアスペルガー症候群の診断を受けられる医療機関
大学病院や総合病院などの小児科、児童精神科、小児神経科、発達外来  など
大人がアスペルガー症候群の診断を受けられる医療機関
精神科、心療内科、大人にも対応している児童精神科・小児神経科   など

もし、いきなり医療機関にかかることに抵抗があったり、適切な医療機関が近所に思い当たらなくて困るという場合は、先に下記のような専門機関に相談してみましょう。

病院以外で、子供のアスペルガー症候群の相談ができる専門機関
地域の保健センター、子育て支援センター、児童発達支援事業所  など
病院以外で、大人のアスペルガー症候群の相談ができる専門機関
発達障害者支援センター、障害者就業・生活支援センター、相談支援事業所  など

アスペルガー症候群かどうかはどうやって診断するの?

子供の場合は、本人への問診と親への成育歴・既往歴・家族歴に加え、通っている学校の担任へのチェックリストの実施、心理テスト・知能テストの結果から総合的に判断します。

大人の場合は、まず医師から本人に普段の生活や仕事において困っていることなどの現状の確認と、子供の頃や家族の様子・病歴など過去のことについて問診します。その後、さらに心理検査や生理学的検査を重ねて、診断が下されるのが一般的です。
また、普段の様子や子供の頃の様子がわかる日記やメモ書き、母子手帳、連絡帳、通知表、自筆のノートなども診断の役に立ちます。

周囲や家族の協力も得ながら上記を準備しておき、医療機関を受診する際に必要物を改めて確認したうえで、準備を整えて受診に臨んでください。

アスペルガー症候群とわかったとき、どうすればいいの?

アスペルガー症候群と診断された場合、患者本人はこれまで感じていた様々な「生きづらさ」を病気による症状と認識する必要があります。
そのうえで、担当医とよく話し合って適切な治療や療育を続け、社会生活の中での支障を改善していくことが大切です。学校や職場などには事前に自身の病気についてきちんと説明し、協力を得られる環境を作っていくことも忘れないようにしましょう。

一方、周囲の人は、患者の病気をよく理解して患者が社会生活を送りやすいよう支えていく必要があります。アスペルガー症候群の症状の現れ方は様々で、苦手とする事柄も異なりますので話し合いを重ね、学業や業務の行い方を工夫していきましょう。

おわりに:アスペルガー症候群の兆候を感じたら、周囲の協力を得て専門機関へ

アスペルガー症候群の兆候がある人は、年齢にかかわらず周囲とのコミュニケーションが難しくなる場合が多いです。患者のなかにはなぜ周囲とうまくやれないのかわからず、辛い思いをする人も少なくありません。この記事で紹介した内容を参考にし、アスペルガー症候群の症状・特徴を感じたら、できるだけ早く専門機関を相談・受診してください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

子供(198) 診断(68) 大人(55) 特徴(48) アスペルガー症候群(11) チェック(19) 専門機関(1)