記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/5 記事改定日: 2019/7/22
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
結核の治療では入院することになるケースが多いです。治療期間や治療の内容はどうなっているのかご存知ですか?
この記事では、結核の治療法や治療費について解説していきます。
一般的には、結核治療では薬剤耐性を防ぐ目的で3~4種類の薬を併用する方法が用いられます。薬に対して耐性ができた結核菌(多剤耐性結核)で薬だけで完治が難しいときには、外科治療が行われることがあります。
服薬は退院後も必要であり、自己判断で薬の服用を中断すると薬剤耐性ができやすくなるため、医師の指示に従い決められた期間服薬を続ける必要があります。
周囲の人に感染する恐れがある人は、入院治療が必要です。具体的には、痰中に結核菌が排出される喀痰塗抹陽性の人が入院適用となります(勧告入院)。
塗抹陰性の人は外来治療でも問題ない場合もありますが、以下のような場合は喀痰塗抹陰性でも入院がすすめられることがあります。
基本的には、痰中への排菌がなくなり、周囲への感染の恐れがないと判断されるまでの間、入院が必要となります。
平均的な入院期間は65日程度ですが、合併症や、薬剤耐性、副作用などの症状によっては、治療が長引く可能性があります。
ただ、排菌している結核の場合でも医師の指示に従い服薬をしっかりと行えば、通常2ヶ月ほどで排菌はおさまります。
詳しい条件などは、世帯の所得税額や入院、外来の違いにより異なりますが、結核の治療費用は「公費負担制度(国・自治体からの治療費補助)が適用される場合がある」と感染症法により定められています。
詳しい内容については、保健所、自治体、医療機関等で確認しましょう。
保険の種類に関わらず、結核の治療に必要な医療費の5%は自己負担となります。
※ ただし、初診料、再診料・指導料・診断書料・協力料は公費負担の対象にはなりません。
保険給付(種類は問わない)により支払われた費用を除いた、結核治療に必要な医療費全額を公費で負担します。ただし、患者や扶養義務者の所得税によっては自己負担がかかることがあります。
検査で痰の中に結核菌が含まれていることがわかると、周囲への感染を予防するために結核病床に隔離入院することになります。ただ、痰の中に結核菌が含まれていない場合は、T-SPOT検査などの血液検査で結核に感染していることが判明しても、周囲の人へ感染する危険がないため通院治療を行うことになります。
通院治療では抗結核薬の内服治療を6~9カ月継続し、抗結核薬の中には肝機能障害などの副作用が出やすいものがありますので、治療中は定期的に検査して全身の状態をチェックする必要があります。
世帯年収などによっても異なりますが治療費は公費負担となるケースが多く、その場合の自己負担額は5%です。ただし、住んでいる地域の保健所が管轄する結核診査会で治療の必要がないとされたうえで、本人の希望で治療を実施したときは公費適応にならず、健康保険の範囲で自己負担となります。
結核を発症した場合、周囲へ感染させるリスクがあると認められた人は、2ヶ月程度の長期入院が必要になるのが一般的です。また、結核の治療費用は、公費負担制度が適用される場合があるので、詳細は保健所、自治体、医療機関等で確認してみましょう。