記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/20 記事改定日: 2019/6/27
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
全身の蕁麻疹や手足、喉の腫れなどの症状を引き起こす「アナフィラキシー」。ショック症状に陥ると死に至ることもありますが、このアナフィラキシーの原因とは何なのでしょうか?発症を予防するには、どうすればいいのでしょうか?
短い時間で、急性の全身性かつ重度なアレルギー反応があらわれることを、アナフィラキシーと呼びます。原因アレルゲンを食べたり飲んだり、吸い込んだりすることで引き起こされる症状です。
具体的なアレルゲンとしては、卵や小麦、そばなどの食べ物や、ハチやムカデなどによる虫刺され、抗生物質や解熱鎮痛薬などの薬物、ラテックスと呼ばれる天然ゴムなどがあげられます。
このうち食物アレルギーを起こすことが明らかとなっている食べ物は、卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツ、えび、かにがあげられ、この7品目は食品衛生法において食品表示が義務づけられています。
また、アナフィラキシーを引き起こす虫の代表格として知られているのがハチです。スズメバチ、アシナガバチに刺されたことがあり、ハチ毒に対する抗体ができている場合は、2度目以降ハチに刺されると、5~10分以内にアナフィラキシーを起こすことがあります。
この他にも輸血が原因となったり、ダニやハムスターなどに噛まれたりすることでも引き起こされます。
アレルギー反応を引き起こす原因となる食べ物を食べてから、4~6時間以内に運動をすることによってアナフィラキシーが引き起こされる現象を「運動誘発性アナフィラキシー」と呼びます。
この場合、食べ物を食べても運動をしなければアナフィラキシーは起こりません。とくに、鎮痛薬の内服、高温や寒冷の環境、高湿度、花粉症、月経などの要因があると発症しやすくなるといわれています。
運動誘発性アナフィラキシーの症状としては、最初に全身の熱感、蕁麻疹、身体のだるさなどがあらわれた後、悪化すると手足の腫れや腹痛、喉の腫れや血圧の低下が起こります。このような症状があらわれはじめたら、すぐに運動を中止しましょう。
アナフィラキシーを引き起こさないためには予防が大切です。
まず、アレルゲンとなる食べ物を食べないように、アレルゲンを明確にしておきましょう。具体的なアレルゲンは、医療機関などで行うパッチテストや血液検査で知ることができます。なお、アレルギー物質の食品表示が義務付けられているものは7品目しかないので、自身でしっかりと検査をおこなってアレルゲンを特定し、食品表示義務のないアレルゲンも避けるようにしましょう。
また、ハチなどの虫刺されによるアナフィラキシーを予防するためには、巣に近づかないようにすることが一番です。ハチの巣の周りには見張りのハチがいますので、間違って近づいてしまった場合には姿勢を低くして、ハチが飛び去るのを待ち、ゆっくり巣から離れてください。
なお、薬物に対するアナフィラキシーの場合は、原因となる薬物の使用をやめ、代わりのものを使う必要があります。市販薬を購入するときにはきちんと薬剤師に相談しましょう。
風邪などで体調を崩している時、疲れや睡眠不足、ストレスが溜まっている時にはアレルギー反応が重症化しやすく、アナフィラキシーを起こしやすくなります。
何らかのアレルギーを持っている人はアナフィラキシーの発症を防ぐためにも日頃から生活習慣を整えて体調管理を行い、体調が悪い時はいつも以上にアレルゲンに注意するようにしましょう。
アナフィラキシーの特徴である、短い時間で急激にあらわれる重度なアレルギー反応は、大変危険なものです。症状は全身にあらわれ、命の危険に関わることもあります。アレルゲンを把握し、それに接触しないよう予防に努めましょう。