記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/1 記事改定日: 2019/6/27
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
致死率の高い感染症として知られる「エボラ出血熱」。このエボラ出血熱の感染経路とは、どういったものなのでしょうか。蚊による発症リスクについてもあわせて解説していきます。
エボラ出血熱はウイルス感染症の一種であり、エボラ出血熱を発症した人の血液などの体液や排泄物に触れたり、コウモリなどエボラウイルスに感染した動物に触れることなどによって感染します。
特に、皮膚や粘膜に傷がある場合にそこからウイルスが体内に侵入しやすくなるため、万が一エボラ出血熱に感染した人がいた場合や流行地に行く場合には、むやみに他者と濃厚な接触をしないように注意しましょう。
また、エボラ出血熱は症状が改善した後も数カ月はウイルスが体内に残存することがあるため、発症後1年ほどは性行為なども含めて適切な感染対策を続ける必要があります。
血液を介して感染するとなると、心配なのは人を指して血液を吸う蚊の存在です。蚊はエボラ出血熱の感染経路となり得るのでしょうか。
エボラ出血熱は、蚊を介して感染することは無いとされています。エボラウイルスに感染し、感染を拡大させるのは、人やサルなどの特定の哺乳類であり、蚊などの昆虫類を介しての感染は無いと考えられています。
エボラ出血熱の潜伏期間は、2日から最長3週間です。この潜伏期間を経て出現する最も一般的な症状は、突然の発熱、強い脱力感、筋肉痛、頭痛、喉の痛みです。その後は嘔吐、下痢、発疹、肝機能および腎機能の異常が見られるようになります。
さらに症状が悪化すると出血がみられることがあり、外出血と内出血の両方が起こることがあります。なお、血液検査上は白血球数や血小板数の減少、および肝酵素値の上昇がみられます。
また、2000年にウガンダで流行した際には、上記に加えて衰弱のほかに下痢といった消化器症状が目立ち、出血が見られたのは患者の10%以下でした。エボラ出血熱と一言でいっても症状にばらつきがあることがわかっています。
なお、上記の症状のほかには、肝臓でウイルスが増殖することから、肝腫脹により右季肋部の圧痛や叩打痛がみられるケースもあります。
エボラ出血熱は、人を始めとする哺乳類の血液など体液を介して感染する病気です。現段階では蚊を含む昆虫類からの感染は確認されていませんが、エボラ出血熱の感染が確認されている地域へ赴く際には、動物の死がいに触れないようにし、疑わしい症状が確認されたらすぐに医療機関を受診するようにしましょう。