足底筋膜炎の治療・予防にストレッチは効果ある?

2018/7/18

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

足底筋膜炎の治療や予防にストレッチは効果あるのでしょうか?また、どのような処置を行うのでしょうか?
この記事では、足底筋膜炎のセルフケアの方法を紹介しています。病院に行くほどではないけど、痛みは改善したいという人は必見の内容になっていますので参考にしてください。

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足底筋膜炎の治療に、ストレッチは効果あるの?

結論から言うと、足底筋膜の改善にストレッチはあまり効果がないといわれています。
そもそも、足底筋膜とは足底腱膜とも呼ばれるコラーゲンの豊富な組織です。足底腱膜は、組織が伸びすぎるのを防ぐ働きであり、常に体重がかかっている足を安定させる働きがあります。
つまり、他の筋肉のようにストレッチしようとしても、足底筋膜単体を十分に伸ばすことはできないと考えられています。
そのため、足の裏を伸ばすだけでなく、足首や足の指など、足全体のケアが必要です。
以下で、足底筋膜炎の痛みの緩和効果や予防効果が期待できる対処法をいくつか紹介していきます。

ふくらはぎのケア

ふくらはぎの筋肉が硬くなることが原因で足底筋膜に負担がかかり痛みを引き起こしている場合は、ふくらはぎの柔軟性を改善するストレッチを行うことで、痛みを緩和したり発症を予防できることがあります。
ストレッチ以外にも、フォームローラーやテニスボールでふくらはぎの硬さを感じる場所をほぐしてあげるのもおすすめです。
ただし、足底筋膜を直接ほぐそうとすると炎症が悪化して痛みが強くなる可能性があるので止めましょう。

足の指の可動域の改善

足の指や足の裏、甲を動かす筋肉(短母趾屈筋、母趾外転筋、母趾内転筋、前脛骨筋、長腓骨筋など)は、足底筋膜への負荷に密接に関係しているといわれています。
そのため、足の指や足首まわりのストレッチで足の指や足首の可動域を改善すると、足底筋膜への負担が軽減して痛みが改善する場合があります。

ただし、足底筋膜の炎症や痛みを直接改善するわけではないので、効果には個人差があることは覚えておきましょう。また、やりすぎたり間違った方法で行ってしまうと痛みが悪化する恐れがあります。痛みがひどくなったときは、すぐにストレッチやエクササイズを中止してください。

消炎鎮痛薬を使う

足底筋膜炎の痛みは、さすってあげたり動かしてあげることでごまかされることもありますが、足の裏は異常を感知する力が弱いため、痛みを感じたときには既に炎症がかなり進んでしまっていることも多く、そのようなときは痛みをごまかしきれないことも少なくありません。
アイシングをしたり温めることで痛みが軽くなることもあるといわれていますが、効果には個人差があるようです。
足底筋膜炎の痛みは、ロキソニン®などの消炎鎮痛薬を服用したり、ロキソプロフェンやジクロフェナクなどの抗炎症剤が配合された湿布薬を貼って対処をすることで痛みが解消することがあります。
ただし、消炎鎮痛薬には副作用のリスクがあります。他の薬との飲み合わせもあるので、できるだけ医師に処方してもらうようにし、使用時は必ず用法・容量を守って使ってください。

ストレッチだけで足底筋膜炎を予防できる?

足底筋膜炎は、足の指を動かす筋肉やふくらはぎの筋肉が硬くなることが原因のひとつといわれています。そのため、これらの筋肉の柔軟性を改善することは予防に役立ちます。
また、ふくらはぎや足の指を動かす筋肉だけでなく、太ももやお尻の筋肉のストレッチやエクササイズで下半身全体の筋肉を使ってバランスがとれるように対処することも大切です。

足底筋膜炎の予防におすすめの足首まわりの筋トレ

足の指(足の裏)や足首まわりの筋肉は、足の指を動かし、足首の柔軟性や固定力を高めて、歩く・走る・立つなどの動作をスムーズに行い、全身のバランスを整える役割を持っています。
セラバンド®などのトレーニングチューブを用意して、以下のようなトレーニングを行いましょう。

前脛骨筋

脛の前側の筋肉で、足首を上にあげる働きがあります。
足の指を曲げた状態でつま先を上に上げましょう。

後脛骨筋

ふくらはぎの奥にある筋肉で、足首を下に向けたり、内側にひねる働きがあります。
足の裏を床につけたまま、足の親指側にトレーニングチューブをひっかけてひっぱり、内側につま先を向けるようにしましょう。

腓骨筋

脛の外側にある筋肉で、足首を下に向けたり、外側にひねる働きがあります。
足の裏を床につけたまま、足の小指側にトレーニングチューブをひっかけてひっぱり、外側につま先を向けるようにしましょう。

足の指の屈筋群

床にタオルを敷いて、それを足の指で手繰り寄せるストレッチを行いましょう。
1回ごとの動作を大きくすることと、指を握りこむときに土踏まず(足の裏のくぼみ)を浮かせるようにすることがポイントになります。

おわりに:足裏の柔軟性をよくするストレッチを行いましょう

足底筋膜は他の筋肉のようにストレッチで十分に伸ばすことは難しいため、足の裏のストレッチだけではあまり効果が期待できません。ふくらはぎや太ももの裏のストレッチや足首周りの筋トレなど、トータルでケアしていきましょう。

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