人工甘味料は太る!? ゼロカロリーでも太る理由とは?

2018/7/24

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ダイエット中の方や健康志向の方にとっては、心強い味方のゼロカロリー飲料。カロリーがカットされているのに甘みを感じられる理由の一つが「人工甘味料」ですが、人工甘味料でも太るリスクはあるのでしょうか?

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

人工甘味料とは?ゼロカロリーでも太るって本当?

人工甘味料とは、人工的に化学合成された甘味料のことです。代表的な人工甘味料としては、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、サッカリンなどが挙げられます。

人工甘味料は砂糖と比べてカロリーが少なく、甘みが強いため、「カロリーゼロ」などと謳ったダイエット飲料によく含まれています。しかし近年では、後述の理由から太るリスクの上昇につながるとも指摘され始めています。

人工甘味料で太る理由:①脂肪が蓄積される

人工甘味料は、「インスリン」の分泌量に影響することがわかっています。インスリンとは膵臓から分泌されるホルモンの一種で、食事の摂取によって得たブドウ糖をグリコーゲンに変換させ、血糖値を一定に保つ作用があります。このグリコーゲンは通常、肝臓や筋肉に蓄積されていくのですが、蓄積許容量が限度を超えると、インスリンはブドウ糖を脂肪に変換して、体脂肪として溜め込むようになります。このため、インスリンは「肥満ホルモン」とも呼ばれます。

そして、このインスリンは人工甘味料の摂取後も分泌されるといわれています。過去に実施された研究によれば、ラットにアセスルファムカリウムを注入したところ、注入量に比例してインスリンの分泌量が増えたという結果が得られています。つまり、ゼロカロリーの飲料であっても、人工甘味料入りであればインスリンの分泌量が増え、常飲すると脂肪の蓄積につながる恐れがあるのです。

人工甘味料で太る理由:②味覚が鈍る

人工甘味料は、砂糖よりも強い甘みがあります。例えばアスパルテームは砂糖のおよそ160〜220倍、アセスルファムカリウムはおよそ200倍、スクラロースはおよそ600倍も甘いといわれています。

そのため、甘みの強い人工甘味料を習慣的に摂取していると、甘みに対しての味覚が徐々に鈍くなっていきます。その結果、砂糖などの天然甘味料やフルーツを食べても甘みを感じなくなってしまい、過食や砂糖の追加によって太りやすくなる恐れがあるのです。

人工甘味料で太る理由:③過食につながる

研究によって見解はさまざまですが、基本的に、人工甘味料自体には血糖値を上昇させる効果はないと考えられています。しかし、血糖値が上昇しないと脳は食事量が不足していると錯覚するため、過食を促す恐れがあるともいわれています。

おわりに:人工甘味料は適量での摂取が重要

人工甘味料は砂糖と比べて、少ない量でも強い甘みを感じられるのが特徴です。しかし、習慣的な摂取でその甘みに慣れてしまうと、かえって過食につながる恐れがあります。適量を守ることが大切です。

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