甲状腺機能亢進症の食事って、ヨード摂取量を控えたほうがいいの?

2018/7/26

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

甲状腺機能亢進症とは、身体の発育や代謝などを司る甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、全身にさまざまな影響が及んでしまう疾患です。
今回は甲状腺機能亢進症と診断されたときの食事について、ヨードの摂取を控えるべきかどうかや、注意点についてご紹介していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

甲状腺機能亢進症の食事では、ヨードに気をつけたほうがいいの?

ヨードはヨウ素とも呼ばれ、人間の身体の発育や代謝に欠かせない甲状腺ホルモンの原料となる栄養成分の一種です。
昆布・ひじき・のり・わかめなどの海藻類に多く含まれているほか、わずかながら肉・魚・甲殻類などの食品にも、また医療用の消毒液や造影剤にも多量に含まれています。

このように海藻類に多く含まれていること、また日常生活でも無意識に摂取していることから、私たち日本人は特にヨードを摂取しやすい傾向にあります。
しかし、甲状腺には摂取したヨードを必要以上に取り込まないようにする仕組みがあるため、甲状腺亢進症でも基本的にはヨードの摂取量を制限する必要はないといわれています。

ただし、過剰摂取には注意が必要です。以下に1日当たりのヨード摂取量の目安をご紹介しますので、参考にしてください。

  • ヨードの適量は、1日当たり0.1~1.5mg(ただし、上限は3mgまで)

甲状腺機能亢進症の人が、ヨード摂取を控えたほうがいい時期があるの?

甲状腺機能亢進症の患者でも、基本的には制限する必要がないとされるヨードの摂取ですが、放射線ヨウ素を用いたアイソトープを受ける前は例外です。

アイソトープとは、甲状腺ホルモンの原料であるヨードが甲状腺に集まる特性を利用して、甲状腺の状態を調べたり、甲状腺の活動を抑える検査・治療方法です。
このため、アイソトープを受ける場合は検査・治療への影響を避けるため、実施予定日の1~2週間前からヨード摂取を制限する必要があります

アイソトープ前のヨード制限期間中には、以下のようなヨードを多く含む、またはヨードを含む恐れの高い食品は控える必要がありますので、覚えておいてください。

ヨード制限期間中に、絶対に食べてはいけない食品
海藻類、昆布加工品、昆布だし、昆布エキス入りの食品・調味料、ヨードで強化されたいわゆるヨード卵
ヨード制限期間中に、極力避けるべき食品
かんてん、ところてん、ようかん、こんにゃく、魚介類全般、練り物など魚介加工品、ホルモン、海藻由来の添加物カラギナン入りの食品、添加物としてヨウ素を使用している食品

ヨード制限のときに食べていいものは?

避けるべき食品がある一方で、ヨード制限期間中に食べても問題ない食品もあります。ヨード制限期間中は、以下に挙げる食品で上手に食事内容をコントロールしてください。

ヨード制限期間中に、食べてもいい食品

  • 鶏ガラ、肉、コンソメ、ブイヨン、しいたけなど、昆布・魚介以外のだし調味料
  • 昆布・魚介だしを使わずに調理したごはん、パン、麺類などの穀類
  • 緑黄色野菜、イモ類、キノコ類、果物など野菜類
  • すべての大豆食品を含む大豆、枝豆、煮豆など豆類
  • ホルモン以外の部位の牛肉、豚肉、鶏肉など肉類
  • ヨード卵以外の卵(ただし、1日1個まで)
  • 牛乳(ただし、1日200mL程度まで)
  • お茶類、コーヒー、ジュースなどの飲み物(ただし、昆布エキスを含まないもの)

おわりに:アイソトープ前は、とくにヨード摂取量に注意!

たとえ甲状腺機能亢進症を発症していても、普段から特別ヨードの摂取量を制限する必要はないとされています。ただし、甲状腺ホルモンの主原料となるヨードの特性を利用した検査・治療法「アイソトープ」を受ける1~2週間前だけは、摂取量を制限しなくてなりません。制限期間中は医師の指示に従い、避けるべき食品をきちんと控えて食事内容を工夫し、検査・治療に臨むようにしてください。

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