記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/27 記事改定日: 2019/10/10
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
誰かと話すときに人の目が見られなかったり、視線を合わせるのが怖かったりすることはありませんか?こうした視線に関する悩みは特に日本人に多いとされるものですが、一体何が原因なのでしょうか。病気の可能性もあるのでしょうか?
初対面の人や、あまり親しくない人と話すとき、目を見て話せないという方は少なくありません。こうしたアイコンタクトへの苦手意識の多くは、「見られること」の苦手意識からくるものであり、恥ずかしがり屋の人や自分に自信のない人、トラウマのある人などによく見られる傾向にあります。
ただ、視線が気になりすぎて過度に恐怖心を感じたり、日常生活に支障が出てしまっている場合は「視線恐怖症」の可能性があります。
視線恐怖症とは、自分や他人の視線について過度に意識したり、恐怖心を抱いたりする症状の総称で、対人恐怖症の一種と位置付けられています。下記のような状態が続いている場合は、視線恐怖症の可能性があります。
視線恐怖症は思春期や青年期の若い人に多く見られるもので、「自分の視線(あるいは外見)が周囲に不快感を与えているのではないか」と過剰に悩むのが特徴です。
視線恐怖症は、大まかに以下の4種類に分けられます。
自分の視線が相手に不快感を与えているのでは、と考えるタイプです。「自分の目つきが悪い」「自分の視線が攻撃的だから、周囲を不快にさせてしまう」という過度な思い込みがある傾向にあります。
周囲からの視線を過度に恐れるタイプです。他者から見られることに異常に恥ずかしさを感じ、見られることで自分が大きな失敗をするのではないか、笑われているのではないかなどと考え、視線が怖くなってしまいます。
特に自己肯定感の低い人は、自分を見られたくないという気持ちが強くなるために、他者視線恐怖症を発症しやすい傾向にあります。また、自分が他人からどう見られているか過度に気にする人も発症しやすいです。
他者視線恐怖症が重症化すると、外出を避けるようになります。
人と見つめ合うと心が見透かされているような気分になり、極度の恐怖心を感じてしまうことで、人と目が合わせられなくなるタイプです。正面に人が座ると過剰に緊張する人は、該当する可能性があります。
視界に入った人の視線を異常に気にしてしまうタイプです。特に横にいる人に意識が向きやすく、自分を見ているのではないかと気になって、確認のためにチラチラ見る衝動を抑えられなくなります(このため「横目恐怖症」とも呼ばれることがあります)。また、そうして視界に入った他人を見ることで、不快感を与えたのではないかと申し訳なさを感じるのが特徴です。
脇見恐怖症の人は無意識のうちに視線が対象に吸い寄せられる感覚を感じており、そのために相手を注視してしまうことが多いのですが、意識せずに勝手に動いてしまう不随意運動には該当しません。どちらかというと強迫症の症状に近いものと考えられています。
しかし、相手を注視してしまうことで「ジロジロ見ないで」と言われてしまい、そうした拒絶の体験から次第に相手を見る行為自体を避けるようになります。そうして症状が進行すると、どこに目線をやればいいのかわからなくなり、最終的には外出自体を避けるようになったり、生活全般で苦痛を感じるようになってしまいます。
自閉症やアスペルガー症候群などの症状として、視線が合わない・目を見ようとしないというものがあります。
赤ちゃんは生まれたばかりの頃は視力が非常に弱く、周りの物を見ることはほとんどできません。しかし、生後1歳までに視力はどんどん発達していき、生後3か月を過ぎる頃には顔を近づけてあやすと目を見て笑うようになります。
しかし、発達障害の子はこのような反応に乏しく、1歳、2歳を過ぎても周囲の人の目を見て話したり笑ったりすることが極端に少ないのが目立つようになります。
このような症状が気になるときは、できるだけ早く専門の医療機関を受診して診察を受けるようにしましょう。
人の目を見れない原因には、視線恐怖症や発達障害などの原因が考えられます。こういった原因で起こる「視線への恐怖心」は、放置していると社会生活に大きな支障が出てしまう可能性もあります。
重症化する前に専門医に相談し、カウンセリングなどの専門治療を始め、悩みを少しずつ小さくしていきましょう。