記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/8/5
記事監修医師
前田 裕斗 先生
毎月やってくる月経(生理)について、あなたはどれだけ知っていますか? ここでは初潮から閉経までの約40年間で、なんと約450回もあるとされる生理の仕組みを解説します。あらためて自分の体と向き合うことで、毎月の生理を快適に過ごしましょう。
月経(生理)とは、厚くなった子宮内膜がはがれ落ちるときに起こる、定期的な出血のことです。その仕組みを、順を追って説明していきます。
女性は生まれたときから、おなかに200万個もの原始卵胞を持っています。原始卵胞とは卵子のもとになるもので、年齢を経るごとに減少していきます。
思春期を迎え、脳下垂体から卵胞刺激ホルモンが出ると、原始卵胞が活動を始め、成熟卵胞となります。その後、卵胞から卵胞ホルモン(エストロゲン)、脳下垂体から黄体化ホルモン(LH)が分泌されることにより、卵胞から卵子が排出される、いわゆる「排卵」が起こります。
排卵した卵胞は黄体となり、卵胞ホルモンと黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌するようになります。これらのホルモンが子宮内膜を厚く・変化させて、受精卵が着床しやすい環境を作ることになります。ところが卵子が受精しなければ、黄体が退縮することでプロゲステロンの分泌が低下し、それが引き金となり不要になった子宮内膜ははがれ落ちて体外に排出されてしまいます。これが、月経が起こるメカニズムです。
それでは、正しい月経周期の数え方を確認していきましょう。妊娠を希望する人はもちろん、そうでない人も自分の周期を知ることで、自分の体調管理がしやすくなるはずです。
月経周期の計算するためには、月経開始日、つまり出血が始まった日がポイントになります。月経開始日を1日目とし、次の月経開始日の前日までを1回分の月経周期と考えてください。
たとえば、4月1日に月経が始まり、4月30日に次の月経が来たとしましょう。この場合、月経周期は29日ということになります。しかし、月経周期はストレスなどの精神的なダメージや環境の変化が原因となり、簡単に乱れてしまいます。ですから、正確な月経周期を知るためには、4回以上のデータを揃えて平均値を出してください。そのためには、Webの計算ツール、もしくは携帯のアプリなどが役立ちます。
ちなみに、健康な女性の場合だと、一般的な月経周期は25日〜38日の範囲内とされています。この周期のうち、月経として出血があるのは3日~7日程度です。
もし、自分の月経周期が極端に長かったり短かったり「ちょっとおかしい?」と不安になったら、恥ずかしがらずにできるだけ早く、婦人科で診てもらうようにしましょう。もしかすると、以下のようなトラブルが隠れているかもしれません。
月経周期が39日以上の場合を「希発月経」、90日以上月経がこない場合を「無月経」と呼びます。このほかにも、排卵がないのに月経だけがある「無排卵月経」などもがあります。また、月経がなかなか来ないときには「妊娠」の可能性も考えられるでしょう。
25日未満で出血が繰り返すことを「頻発月経」と呼びます。「黄体機能不全」などの病気、あるいは子宮自体の異常が原因で起こる出血の場合があるため、すぐに婦人科を受診しましょう。
長すぎたり短すぎたりと、あまりにバラバラな場合は「不正周期月経」の疑いがあります。ただし、初経から数年間はホルモンのバランスが安定しないため、月経周期の乱れが多くなります。この場合は、さほど心配ないでしょう。
排卵時出血や着床出血などの、体に異常がない出血もありますが、場合によっては「子宮内膜ポリープ」「子宮体がん」「子宮頸がん」などの病気が潜んでいる可能性があります。ただし、40〜50歳代で月経が早まってきた場合は、閉経のサインである可能性があります。。
どうしても憂鬱な気分になりやすい月経ですが、規則正しい月経は女性の体にとって必要不可欠なものです。正しい知識を得ることでストレスを減らし、なるべくリラックスをすることで、毎月の月経と上手に付き合っていきましょう。