記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
淋病(淋菌感染症)は、「淋菌」という病原菌の感染によって発症する性病(性感染症)のため、抗生物質の投与が有効です。では、具体的にどんな薬が投与されることになるのでしょうか?治療中の注意点と併せて解説していきます。
検査によって淋病と診断された場合は、抗生物質で治療していくことになります。内服、点滴、静脈注射、筋肉注射など、投与の方法は状態に応じてさまざまで、投与期間も1~7日間と幅があります。1回の投与で済む場合もあります。
淋病の場合、投与される抗生物質は主に以下の2種類です。
近年では、1回の内服で1週間効果が持続する「ジスロマック®SR」を処方する医療機関もあります。
淋病の病原菌である淋菌は、医師の指示通りに抗生物質の投与を行えば、基本的には駆除可能です。抗生物質の投与が終わってからおよそ1週間後に治療判定検査を行い、ここで陰性判定が出れば晴れて完治となります。
しかし近年問題になっているのが、「薬剤耐性菌」の存在です。薬剤耐性菌とは抗生物質が効かない菌のことで、途中で抗生物質の投与を中断してしまうことによって出現するリスクがあります。
近年ではこの耐性菌の種類が増加傾向にあるため、途中での服用中止や飲み忘れのリスクがある内服薬よりも、注射薬によって十分量を1回だけ投与する単回投与療法のほうが推奨されています。
コンドームなしでの1回の性行為で淋病に感染する確率は、20~50%といわれています。そのため、一人が淋病に感染していた場合は、パートナーも感染している可能性が必然的に高くなります。
そこで注意が必要なのが「ピンポン感染」です。ピンポン感染とは、パートナー間での性病のうつし合いのことで、せっかく自身の淋病が完治してもパートナーが感染したままだと、再感染してしまう可能性があるのです。
このことから、淋病を治療する際はパートナーも一緒に性病科を受診し、検査と治療を同時に行うことが推奨されます。
医師の指示通りしっかり抗生物質を内服すれば、基本的に淋病は治癒可能です。しかし、飲み忘れたり服用を途中でやめてしまうと、耐性菌が出現して治療が難航してしまう恐れがあります。このため、現在はジスロマック®SRや注射薬の単回投与で治療をすることが多いですが、詳しい治療方針については担当医から改めて説明を受けるようにしてください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。