「風疹」患者が都内で急増中! 抗体検査と予防接種にかかる費用は? 助成金は下りる?

2018/9/12 記事改定日: 2018/9/12
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

現在、首都圏を中心に感染者数が急増中の「風疹」。30代以上の男性が感染するケースが多いのですが、男性が妊娠中の女性に風疹をうつしてしまうと、その赤ちゃんが先天性の障害をもってしまう恐れも。

そんな事態を未然に防ぐためにやっておきたいのが抗体検査と予防接種ですが、気になるのがその費用ですよね。以降では費用相場と、ぜひ活用したい助成制度についてお伝えしていきます。

風疹の抗体検査を受けたほうがいい人って?

東京や千葉など首都圏を中心に流行中の風疹。特に感染リスクが高いのは「昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれ」、2018年現在30~50代の男性です。この世代は中学生のとき、女性には風疹ワクチンの集団接種が行われましたが、男性には接種が行われていないので風疹への免疫をもたない人が多いです。実際、今回の風疹感染者の多くはこの人たちでもあります。

また、「昭和54年4月2日~平成2年4月1日生まれ」の人も要注意です。この世代の人たちは、風疹ワクチンの接種をしたことはあっても、回数的には1回しか接種をしていません(中には未接種の人もいます)。
実は現在の制度ではワクチンは2回接種することになっており、これは1回の接種では抗体がつかない人がいるということ、また年数が経つにつれ抗体が減ってしまうことが関連しています。つまり、予防接種はしたことがあっても、抗体価が低い(あるいはない)ために風疹に感染してしまう恐れがあるのです。

したがって、上記の2つの世代いずれかに該当する人は、風疹の抗体検査を受けることが推奨されます。

風疹の抗体検査と予防接種の費用はどれくらい?

そこで気になるのが、風疹の抗体検査と予防接種にかかる費用です。定期接種の年齢に該当する子供は、予防接種を原則無料で受けることができますが、大人の場合、費用は自己負担になります。

抗体検査と予防接種はいずれも医療機関で受けることが可能です。具体的な費用は医療機関によって異なりますが、相場は以下のとおりです。

  • 風疹の抗体検査:5000円前後
  • 風疹の予防接種:8000円前後

なお、検査や接種を実施しているかは医療機関によって異なります。必ず事前にお問い合わせください。

風疹の抗体検査と予防接種は、助成金が下りることも!

大人が風疹の抗体検査と予防接種をどちらも受けたい場合は、おおよそ10000円を超える自己負担が必要です。もし夫婦揃って受けることになればさらに2倍と、痛い出費になります。

しかし、自治体によっては助成金を出してくれるケースがあります。自治体によって規定は異なりますが、主として妊娠を希望する女性については、助成費用がおりて無料で抗体検査を受けられることがあります。さらに、検査で抗体価が不十分と認められた場合には、無料あるいは一部自己負担で風疹の予防接種を受けられる場合もあります。

検査&予防接種の助成対象は、自治体によってかなりの差が

風疹の感染リスクが高い人にとっては、かなり嬉しい助成制度。しかし、肝心の助成対象については、実は自治体によってかなりの幅があります。抗体価が不足している可能性のある人でも、助成が下りないことがあるのです。

ポイント①:妊娠希望の女性のパートナー、同居人が助成対象になるか

自治体によって助成対象に差があるポイントのひとつが、「妊娠を予定・希望している女性」だけでなく、その「配偶者やパートナー」、さらには「同居人」も助成対象となるかどうかです。風疹ワクチンは妊娠中の女性は接種できないため、その配偶者など同居人が免疫をきちんと持ち、家の中にウイルスを持ち込まないことが非常に重要なポイントとなります。

東京都23区の例でいえば、風疹の抗体検査の助成対象は以下のように異なります(2018年9月3日時点、各自治体の風疹助成制度ページをもとに作成。詳しい条件については、各自治体にお問い合わせください)。

妊娠を予定または希望している女性のみが助成対象の自治体
千代田区、北区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区
妊娠を予定または希望している女性と、その配偶者(またはパートナー)が助成対象の自治体
新宿区、台東区、墨田区、江東区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区
※入籍していないパートナーについては、助成の対象外とする場合もあります。詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。
妊娠を予定または希望している女性と、その配偶者(またはパートナー)や同居人が助成対象の自治体
中央区、港区、文京区、品川区、豊島区、荒川区、練馬区

さらに風疹の予防接種を受けられるかについては、基本的に抗体検査の結果、接種が必要と認められた人に限りますが、自治体によっては助成対象が狭まることもあります。例えば港区や江東区、大田区、世田谷区などは、抗体検査自体は妊娠希望の女性に限らず、そのパートナーなども助成対象になりますが、予防接種に関しては妊娠希望の女性のみが助成対象となっています。

ポイント②:風疹の予防接種歴がある人でも、助成対象になるか

さらに注目したいポイントが、「風疹ワクチンの接種を1回でも受けたことがある人は、助成対象外とする自治体もある」ということです。

先ほど、風疹ワクチンの接種が1回のみでは抗体がつかない人もいるということや、現時点で抗体が弱っている可能性があることをお話ししました。しかしながら、現行の制度では2回接種が原則となっているにもかかわらず、過去に1回でもワクチンを接種した履歴が明らかであれば、自治体の助成制度を活用しての検査や接種ができないケースがあるのです。

予防接種を受けたことがあるか、わからない場合は?

母子手帳を紛失したなど、風疹の予防接種歴がわからない方であっても、抗体検査の助成金が下りる場合があります。

自治体の助成で抗体検査を受ける場合は、基本的に風疹の予防接種歴の有無について予診表に記入することになるのですが、「いままで風疹の予防接種を受けたことがありますか」という質問欄に対して「はい」「いいえ」「不明」のいずれかに○をすることになります。
このうち、母子手帳を紛失したなど接種歴がわからない場合は「不明」に該当し、つまり抗体をもたない可能性があるため、抗体検査が必要とされる対象にはなります。

ただ、こうした方でも助成を活用できるかどうかは自治体によって異なります。詳しくはお住まいの自治体の窓口にお問い合わせください。

自治体にインタビュー! 中野区や文京区など、助成対象が広い区も

風疹の抗体検査や予防接種の助成対象を、「妊娠希望の女性のみ」「風疹の予防接種を過去に1回も受けたことのない人」などとする自治体もある一方で、比較的助成対象を広く設けている自治体も存在します。

今回、medicommi編集部では東京都23区のうち、いくつかの区の担当窓口の方に電話でインタビューを行いました。

そのうち中野区では、抗体検査の助成対象を「中野区にお住まいの19~49歳以下の方で、妊娠を予定または希望している女性。あるいは、その女性や妊婦の配偶者または住民票上同居が確認できるパートナー」とし、予防接種の助成対象を「抗体検査の結果、医師が風疹予防接種を推奨する方」としています。

つまり、過去に風疹の予防接種を1回受けたことのある人でも、上記の条件に該当する人であれば、検査と接種費用の助成を受けることができます(制度を利用しての助成回数は、1人につき1回のみ)。1回でも接種歴のある人は助成対象外とする自治体も存在するなか、中野区は検査や接種を受ける機会を広く提供してくれている区のひとつといえます。

中野区 のページはこちらから 】

そして、文京区も助成対象が広いといえる自治体のひとつです。
まず文京区では、風疹の抗体検査の助成対象は「検査当日において、満20歳以上50歳未満で文京区に住民登録のある妊娠を希望している女性、あるいはその女性または妊婦との同居人」としています。妊娠希望の女性や配偶者に限らず、住民票上同居が確認できる人も、上記年齢に該当すれば検査の助成対象になるのです。

また、過去に1回だけワクチンを受けたことのある人でも対象となります(平成25年3月14日(先天性風しん症候群発生防止のための緊急対策開始日)以降に、ワクチン接種済みの方は除く)。

なお、予防接種についても「検査当日において、満20歳以上50歳未満で文京区に住民登録があり、上記の抗体検査(あるいは過去の抗体検査)で抗体価が低いと確認された方」であれば助成対象になります。

ほかの自治体と比べ、なぜこのように対象を広く設けているのか窓口の方にお尋ねしたところ、「この助成制度は、成人の風疹予防を広く一般的に、というものではないため、助成対象にはいくつかの条件があります。しかし、妊婦さんへの感染・先天性風疹症候群対策としての事業ではあるので、できる限り助成対象を広げる意味で、このようになっています」とご回答をいただきました。

文京区 のページはこちらから 】

おわりに:自治体によって対象に差のある助成制度。今後の拡大に期待

ワクチンを接種できない妊婦さんや胎児を風疹から守るためには、「妊娠を希望する女性」だけでなく、その「パートナー」「同居人」「同じ職場で働く人」なども抗体検査を受け、必要であれば予防接種を受けることが重要になります。

しかし、そこまで助成対象を広げられていない自治体も少なくなく、さらに助成外での検査や予防接種は高額なため、受けられない人が多いのも現在の課題のひとつです。今後の助成制度の拡大に期待しましょう。

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