記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/4/4 記事改定日: 2018/3/22
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠中に急に熱が出たり、我慢できない頭痛が続いたり、インフルエンザが流行したり……。お腹の赤ちゃんのためにできれば薬は避けたい、でも、つらい症状はなんとかしたいですよね。ここでは妊娠中に服用しても問題がない薬や予防接種についてご紹介します。
妊娠中はホルモンバランスが変化したり、高血圧や貧血に見舞われることがあるため、頭痛が起こりやすくなります。しかし、頭痛薬の中には、妊娠中に服用するとお腹の赤ちゃんに影響が及ぶものがあります。したがって、妊娠前のときのように、痛みがあるからといってすぐに薬を服用するのは禁物です。
妊娠中でも服用できる頭痛薬として、アセトアミノフェンが主成分のものがあります。市販されている頭痛薬のうち、アセトアミノフェンが主成分のものとして「ノーシン®」や「タイレノール®」があります。
ただし、服用する前はかかりつけの医師や薬剤師に必ず相談してください。また、用法・容量を守ることや、長期間服用し続けないことも大切です。
妊娠中に控えたほうがよい頭痛薬として、アスピリンを含むものがあります。特に、妊娠初期の間に「アスピリン」を含む頭痛薬を服用すると、わずかではありますが奇形児で生まれるリスクが高くなる可能性があります。市販薬では「バファリンA®」「バファリン顆粒®」などにアスピリンが含まれています。
妊娠中に服用しても問題ない薬の成分として、アセトアミノフェンがあります。アセトアミノフェンは熱を下げたり、頭痛を和らげたりする働きがあります。もし服用する場合は、必ず医師に適切な服用量を確認してください。また、アスピリンを含む薬を服用したい場合は、必ず事前に医師に相談してください。ただし、イブプロフェンを配合した薬は服用しないでください。
もし、発熱の原因が尿路感染症、連鎖球菌性咽頭炎だった場合、医師が処方する抗生物質を服用してください。
特にデスクワークでパソコンを使う作業をすることが多い人の場合、妊娠24週あたりで手や手首、指にチクチクするような不快感、痛み、しびれなどを感じることがあるかもしれません。また、妊娠が原因で組織がむくむと、手首の主要な神経が圧迫されて痛みが出ることもあります。
妊娠中に服用しても問題ない鎮痛剤の成分として、アセトアミノフェンがあります。ただ、薬を服用するだけでは症状が改善しない場合もあります。その場合はかかりつけの医師に相談してください。
そのほかの治療法として、鍼治療やカイロプラクティック、マッサージなどで症状を和らげることもできます。また、頻繁にストレッチをして血行をよくしたり、こまめに手首を振ったり、カフェインの摂取量を減らしたり、タバコの煙が立ちこめる場所には近寄らないようにしたりすることも、症状を和らげるのに役立ちます。
胸焼けが続く場合は、胃酸の分泌をブロックするH2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬(PPI)を服用することができます。これらの薬は、妊娠中に服用しても安全とされていますが、必ず事前に医師の許可をもらい、推奨された用量で服用してください。また、食後にシュガーレスガムを食べて唾液が増えると、食道の酸を中和することができるので、過剰な酸を減らすことができます。
一方、妊娠中に服用を控えるべき薬として、ナトリウムや重炭酸ナトリウムを含む医薬品があります。こうした成分を配合した薬が自宅にあっても、服用しないでください。
もし、胃酸の逆流が1週間に2回以上起きたり、2週間以上にわたって薬を服用しても改善しない場合は、胃食道逆流症の可能性があります。こちらは治療が必要なので、医師の診察を受けてください。
妊娠中のほうが、インフルエンザや風邪などにかかりやすい傾向があるため、インフルエンザの予防接種を受けることが推奨されています。というのも、妊娠中は子宮に拒否反応が出ないよう、免疫システムが抑制されているためです。また、妊娠中にインフルエンザに感染した場合、深刻な合併症(肺炎など)を引き起こすリスクが高いと言われています。
インフルエンザの予防接種は、妊娠中いつでも受けることができます。特に、妊娠後期に予防接種を受けておくと、お腹の赤ちゃんが生まれてから自分の体で予防接種を受けられる年齢になるまでの間、赤ちゃんをインフルエンザから守ることもできます。
百日咳の予防接種は、妊娠中に受けても問題ないと言われています。また、接種すると生後2カ月まで、赤ちゃんを百日咳から効果的に守ることができるという研究結果もあります。また、予防接種のおかげで免疫力がつき、妊婦自身が百日咳に感染するリスクが減少するので、赤ちゃんに病気をうつすリスクも軽減できます。
妊娠中でも服用して大丈夫な薬や予防接種があるとわかって、ホッとしたかもしれません。とはいえ、安易な自己判断で服用したり、予防接種を受けたりするのは禁物です。お腹の赤ちゃんへのリスクをしっかり避けるためにも、薬を服用する前に、服用方法や量、服用期間などをかかりつけの医師に相談するようにしましょう。