記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/3/6
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
市販薬や医師から処方された薬の多くが、食後に飲むことを指示されています。食後に飲むのはいいけれど、それだとかえって薬の効果を弱めてしまうんじゃないか…と心配になりますよね。この記事では、あえて食後に飲むように指示されるのはなぜかを解説するとともに、食事を抜いてしまった場合の薬の飲み方などをお話していきます。
胃が空っぽの状態で飲むと、薬の成分が直接胃壁に触れてしまうため、かえって胃を荒らしてしまうことがあります。口から飲んだ薬は胃や腸で吸収されるため、同じ薬でも空腹時に飲むと吸収の仕方が異なり、結果的に薬の効き目も変わってしまうのです。
胃に食べ物がある状態で薬を飲むことで、薬の成分が胃壁に触れにくくなるだけでなく、胃が内容物を送り出そうとする働きが活発になっているのでより早く吸収されます。また、油に溶けやすい成分を持つ薬は、食べ物と混ざることで吸収が良くなることがわかっており、食後に薬を飲むことは薬の効果が弱くなるどころか、胃への負担を減らし、効率的に効果を感じられる状態にしているのです。
そのほか、1日3食規則正しく食事を摂る習慣に合わせて、飲み忘れを防ぐために食後に飲むように定めている薬もあります。
食事と食事のタイミングが6~8時間と比較的均等にあくことから、薬の作用を一定に保つ血中濃度を維持させるのが簡単になることも、食後に指示される薬が多い理由に挙げられます。
食後とは、一般的に「食事を終えてから30分以内」のことを指します。
食後30分以内だと、胃の中で食べ物や胃酸による影響を受けやすい時間帯です。前述したように、薬の成分によっては胃壁を刺激し、胃を荒らす可能性があるため、刺激の強い成分を含む薬は食後に服用するように指示されているものが多いです。また、食事の成分と混ざり合った方が薬を適切に吸収することができる、薬の効き過ぎや副作用を防ぐ目的もあります。食後に飲むことで、薬の効果を適切に吸収するとともに、薬の成分から胃を守ることができるのです。
急用が入ってご飯を食べそびれてしまったときや、普段から朝ごはんを食べない方もいると思います。このような場合は、クッキーやクラッカーなど、ちょっとした食べ物をお腹にいれてから薬を服用するようにしましょう。そうすれば、胃の中を食後の状態に近づけることができるので、空腹状態で薬を飲むよりも胃を保護することができます。
特に鎮痛剤の場合、空腹状態で飲むと胃に影響を与えやすいので、何か口にしてから薬を飲むのがおすすめです。普段から朝食を摂らないようでしたら、薬を処方されたときに医師や薬剤師に相談してください。薬の種類によって対応が異なりますので、食事を抜いたときの対処法は、事前に聞いておきましょう。
牛乳で薬を飲んだら胃壁を守ることができそうな気もしますが、これには注意しなくてはならないことがあります。たとえば便秘薬のように、牛乳で飲むと効きが悪くなる薬や、一部の不整脈の治療薬には効き目が強くなってしまう恐れがあるものもあるためです。
薬に影響を与える飲み物には、牛乳以外にもお茶や紅茶、オレンジュースやグレープフルーツジュースなどがあります。お茶や紅茶に含まれるタンニンは、貧血治療で使われる鉄剤の効果を弱めますし、グレープフルーツジュースは血圧降下薬やアレルギー治療薬などの効き目を強めたりしてしまうことがわかっています。薬を服用するときは、必ず水やお白湯で飲みましょう。
食後に飲むよう指示される薬が多いのは、薬の成分の刺激から胃を守ったり、薬を適切に吸収するためです。食事を抜いてしまったり、習慣的にどこかの食事を摂らなかったりする人は、きちんと薬剤師に相談して、薬の効き過ぎや副作用を起こすことのないように注意しましょう。
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