閉塞性動脈硬化症の治療で薬が選択されるのは?

2019/5/15

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

閉塞性動脈硬化症とは、動脈硬化が原因で発症する病気のひとつです。症状の程度によって4つの段階に区分され、それぞれに応じた治療法が選ばれます。この記事では、閉塞性動脈硬化症の症状とともに、選択される治療法を解説します。

閉塞性動脈硬化症とは?

閉塞性動脈硬化症とは、血管の動脈硬化が原因で血管が細くなったり、閉塞したりすることで血液の流れが悪くなった結果、手先や足先へ栄養や酸素を十分に送り届けることができなくなり、さまざまな症状が起こる病気です。足の血行障害の中でも最も多い病気といえます。

閉塞性動脈硬化症の症状は、Fontaine分類によって4段階に分けることができます。

Ⅰ度
冷感やしびれ感で、手足が冷たくなったり手足の指が青白くなったりしびれを感じるようになります。
Ⅱ度
間欠性跛行(かんけつせいほこう:歩行や下肢の運動を行うと、ふくらはぎなどに締めつけられるような痛みや疲れ、だるさ、こむら返りなどが出現して歩けなくなるが、休憩すると痛みがなくなって歩けるようになる)という症状がみられます。症状が悪化すると、次第に歩ける距離が短くなったり、歩行そのものが困難になったりします。この歩行障害は、閉塞性動脈硬化症の約30%に起こるとされています。閉塞性動脈硬化症による間欠性跛行は、一定の距離以上歩いたときに歩行障害が起こりやすい、症状が毎回同じように出てきやすいという特徴があります。
Ⅲ度
安静時にも起こる痛みで、次第に歩く距離が短くなったり、歩かずに安静にしていても痛みが続いたりします。
Ⅳ度
潰瘍、壊死で、閉塞性動脈硬化症によって皮膚や筋肉の血流が不足することによって、小さな傷や低温やけどなど、何かしらのきっかけによって皮膚に潰瘍や壊死が起こるようになります。壊死を起こすと細菌感染や真菌感染を伴って治らないことがあります。

閉塞性動脈硬化症で薬での治療が選ばれるのは?

閉塞性動脈硬化症の治療は先ほどのFontaine分類によって異なります。

Ⅰ度では、動脈硬化危険因子の管理および薬物療法が行われます。Ⅱ度になると、薬物療法に加えて運動療法を行います。この治療でも改善がみられなかった場合は、血流をよくする血行再建術が行われることもあります。Ⅲ度またはⅣ度の場合、積極的に血行再建術を行うことを検討し、これができない場合は血管新生療法で新しい血管を作り出します。

薬物療法では抗血小板薬や血管拡張薬であるアスピリン、シロスタゾール、チクロピジン、ベラプロスト、サルボグラレート、リマプロストアルファデクス、エイコサペンタエン酸などを使用します。抗血小板薬や血管拡張薬を使用することで、心臓や脳の血流を改善したり、足への血流を増やしたりすることを目的としています。

運動療法は足への血流を増やし、血液中の酸素の利用効率を高める目的で行われます。回転するベルトの上を歩行するトレッドミル歩行や、床にかかれたコースを歩くトラック歩行を1回30分程度を週3回、最低3カ月ほど行います。

治療のために、薬や運動のほかにも大事なことは?

閉塞性動脈硬化症の治療をするにあたって、最初に勧められるのが禁煙です。たばこに含まれるニコチンには、血管収縮作用や中性脂肪を増加させる作用があるため、動脈硬化へとつながります。禁煙しなければ症状が悪化しますし、治療をしても症状が改善しないことがあります。

また、小さな傷や低温やけども壊死につながりかねないため、手足を保護するとともに清潔を保ち、感染症にかからないように注意することが必要です。

食事も見直して、動脈硬化の進行を予防しよう

閉塞性動脈硬化症を進行させないためには、食事の見直しも重要です。食物繊維を積極的に摂取し、カロリーの制限、減塩、コレステロールの摂取の制限に努めましょう。

おわりに:日常生活を見直すことで閉塞性動脈硬化症の予防を

閉塞性動脈硬化症は、下肢に起こる血行障害で最も多い病気で、重症度によって症状は異なることが特徴です。治療には薬物療法と運動療法がありますが、このほかに大切なのが禁煙、食事の見直しなど日常生活の見直しも大切です。日常生活を見直して閉塞性動脈硬化症を予防するとともに、もし閉塞性動脈硬化症が疑われる症状が出てきたら、重症化する前に医療機関で治療を受けましょう。

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