記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/4/17 記事改定日: 2020/5/14
記事改定回数:2回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
赤ちゃんが母乳や粉ミルクを卒業してこれから牛乳を飲ませようかと思ったとき、気になるのが「どんな牛乳をいつから飲ませていいか」ということではないでしょうか。
この記事では、1歳を過ぎた赤ちゃんにおすすめの牛乳の飲ませ方や牛乳の種類、牛乳アレルギーの注意点などを紹介します。
牛乳にはさまざまな種類があります。スーパーなどで販売されているもので家庭でよく飲まれているのは、成分無調整の「牛乳」、脂肪分を調整した「調整牛乳」などです。低脂肪乳は調整牛乳に分類されます。
牛乳は、生乳のみを使用し、脂肪分が3%以上含まれたものと定義されています。
牛乳は成分を調節して脂肪分を減らした低脂肪乳などよりもカロリーが高く、コップ1杯で130~140カロリーほどとされています。一方で、成分が調整されたタイプのものよりもカルシウムやたんぱく質が含まれる量は少なくいのが特徴です。
ただし、カルシウムの吸収をサポートするビタミンDを多く含むため、牛乳をしっかり飲んでいればカルシウム不足になることはまずありません。そのほか、皮膚や粘膜の状態をキープするビタミンBも豊富に含まれています。
低脂肪乳とは、生乳から脂肪分の一部を取り除いて脱脂粉乳を加えたものです。脂肪分が0.5%~1.5%ほど含まれるように調節されており、味は牛乳よりもやや薄くコクもないと感じることが多いようです。また、エネルギー量はコップ1杯あたり90カロリーと牛乳と比べるとヘルシーなのも特徴の一つとされています。
脂肪分は少ないですが、カルシウムとたんぱく質を多く脱脂粉乳が加えられているため、牛乳よりもカルシウムを多く含みます。
従来の海外の研究では、牛乳に含まれる脂肪が脳と神経系の発達に有効と考えられていました。このため、1歳児には普通の牛乳を与え、体が十分発達している2歳児に与えるのは低脂肪乳でよいといわれていました。
ただし最近は、赤ちゃんの脂肪摂取についての考え方が変わっています。
上記の理由から、以前ほど牛乳から脂肪を摂ることが重視されていません。その結果、現在では1歳の赤ちゃんに低脂肪乳を飲ませても発達には問題ないと考えられています。
赤ちゃんが1歳になったときの牛乳と低脂肪乳の摂取について、その使い分けの目安は以下の通りです。
2歳になっても低脂肪乳を飲ませるべきか、普通のミルクに戻したほうがいいかは、かかりつけの医師に相談しましょう。
1歳を過ぎたのを目安に、赤ちゃんに牛乳や低脂肪乳を飲ませようとしたところ、赤ちゃんが吐き出してしまったり、飲みたがらないことがあります。赤ちゃんが牛乳をいやがるときは、以下の方法を試してみましょう。
1歳未満の赤ちゃんは離乳食を開始したとは言っても、消化管の機能はまだまだ未熟です。
牛乳はたんぱく質や乳糖を多く含むため、赤ちゃんの未熟な消化管には負担が大きく下痢などを引き起こすことも少なくありません。また、牛乳はカロリーが高く、成長に必要な鉄分などを十分に含んでいませんので1歳未満の赤ちゃんには向かないとされています。
さらに、牛乳はアレルギーが起こりやすいため、ある程度色々な食材を試して消化管の機能をアップさせてから口にしたほうがよいとの考え方もあります。
厚生労働科学研究班の「食物アレルギー診療の手引き」によると、牛乳は食物アレルギーの発症数が多く、重篤度が高いもののひとつに挙げられています。
赤ちゃんに牛乳を飲ませ始めるときは、下記のことを守りましょう。
また、初めて赤ちゃんに牛乳を飲ませるときは、次のような点に注意しましょう。
脂質の摂取量が少なくなることが不安のときは、ほかの食材から必要な脂肪を摂取できるように工夫しましょう。牛乳以外からも赤ちゃんに必要な脂肪を摂取することはできます。
かつては牛乳から摂取できる脂質が赤ちゃんの成長に欠かせないと考えられていましたが、近年は低脂肪乳でも赤ちゃんの発達に問題ないことがわかりました。ただし牛乳アレルギー発症の可能性がありますので、赤ちゃんが嫌がるときは無理に与えるのは控えましょう。牛乳と低脂肪乳を使い分けるのがおすすめです。なお、最近は大人用の粉ミルクがありますが、赤ちゃんには適しませんので注意してください。