記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/4/8
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
毎日不安にさいなまれて日常生活を過ごせなくなったり、不安になりすぎて頭痛や肩こりがひどくなったりしたとき、抗不安薬が処方されることがあります。ただ、抗不安薬と聞くと、なんとなく副作用が気になるかもしれません。そこでこの記事では、抗不安薬の効果や種類とともに、起こりうる副作用を解説します。
抗不安薬は、「不安感が強すぎるあまり、外出は誰かと一緒でないとできない」「緊張で眠れなかったり、首が固まって吐き気が続いている」というように、日常生活に支障が出るほどの不安や、強い緊張感があるときに処方されるものです。
抗不安薬として有名なのは「ベンゾジアゼピン系抗不安薬」で、抑制性神経伝達物質「GABA(gamma-aminobutyric acid、γ-アミノ酪酸)」の働きを促す力があります。GABAの働きが促進されると脳の活動がペースダウンし、過度の不安や緊張が和らぎます。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は「半減期(体内で薬の濃度が薄まるまでの時間)」によって、短時間型(半減期が3~6時間ほど)・中間型(6~20時間ほど)・長時間型(20~100時間ほど)・超長時間型(100時間以上)に分類できます。半減期の短い「短時間型」ほど、血中濃度の上昇・下降の時間が短くなります。
発作のような急激な不安を抑えるには短時間型の抗不安薬が適しており、頓服として必要な時だけ飲みます。一方、慢性的な不安症状には長時間型の抗不安薬が処方されます。以下に、主なベンゾジアゼピン系抗不安薬を紹介します。
抗不安薬の副作用にはさまざまなものがありますが、なかでも以下の3つの症状があらわれやすいです。
抗不安薬の副作用として最も多いのが眠気です。抗不安薬には、もともと脳の働きをペースダウンさせる効果や、催眠作用があります。そのため、「昼間眠くてたまらない」といった症状がみられることもあります。毎日の生活に支障をきたすほどの眠気を感じるようでしたら、以下のことを試してみてください。
眠くてたまらない状態が続くようでしたら、医師に相談しましょう。また、朝飲んでいた薬を夜にするなど、薬を飲む時間帯を変えるのもおすすめです。また、ほかの薬を処方してもらう場合もありますが、どの抗不安薬も眠気が出やすいため、体が薬に慣れるまで様子をみることも大切です。
抗不安薬には、筋弛緩効果もあります。このため、緊張で肩こりや頭痛などが起きている場合はこうしたつらい症状を和らげてくれます。ただ一方で、脱力感やふらつきが出ることもあります。特に、足腰が弱っている高齢者は、ふらつきから転倒してしまうケースもあります。
特に、高齢者が抗不安薬を飲む場合、「せん妄状態(意識混濁や脅迫的な思考、幻覚などが見られる状態)」を起こしやすいといわれています。このため、高齢者が抗不安薬を服用する場合は、細心の注意を払うことが大切です。
対処法は眠気がある場合の対処法と同じになります。
抗不安薬には依存性が見られます。依存性は大きく分けて精神依存と身体依存の2種類に分類できます。
薬を減らすと焦燥感や強い不安、身体的な不調が起こり、薬がやめられなくなります。これを「離脱状態(禁断症状)」とも呼びます。抗不安薬を長期間服用すると、薬を徐々に減らしたとしても離脱状態が起きることがあるため注意が必要です。
同じ量では効かない感じがして、薬の量が増えてしまうのを「耐性」と呼びます。
依存が起こりやすく、離脱症状が出やすい薬には、「作用時間が短い(短期型抗不安薬)」「効果が強い」といった特徴があります。そのため、超長期型で効果が弱いものほど離脱状態は起こりにくいです。
抗不安薬に依存しないためにも、できるだけ少ない量を短期間使うようにすることが大切です。また、期間を置いて服用すると依存が起きる確率も低くなります。
抗不安薬は、心の不安を和らげてくれる薬です。短期型から超長期型までありますが、依存性の問題もあるので、医師に症状を正しく伝えて適切な薬を処方してもらうことが大切です。
抗不安薬全般に言えることですが、服用すると眠気が強くなったり、筋肉のゆるみでふらつきやすくなったりする副作用がみられる可能性があります。体が薬に慣れるにつれてこうした症状は落ち着いてきますが、あまりにも長く続いて日常生活に支障をきたしているときは、必ず医師に相談してください。