記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/6/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
のどの調子が悪くなって痰がからむことが多いとき、役に立つのが去痰薬です。この記事では、去痰薬の働きや種類とともに、副作用について解説します。
去痰薬とは、気道の分泌作用を促進したり、痰の粘性を低下させることによって、分泌物を吐き出しやすくする薬のことです。肺や気道の分泌液を促進し、気管支粘膜などの上皮細胞にある線毛の動きで、異物や粘液物質を運ぶ線毛運動を促すことで、去痰の作用を発揮します。
去痰薬は、作用によって2つの薬に分類することができます。1つは痰を体外に排出しやすくする作用をもつ気道粘液分泌促進薬で、もう1つは痰や鼻汁などの粘性を下げることによって体外へ排出しやすくする喀痰溶解薬です。
去痰薬はほとんど副作用がない薬といわれています。ただ、もし副作用が起こった場合、重症になるとショックやアナフィラキシー症状、重い皮膚・粘膜障害があります。
ショックやアナフィラキシー症状が起こると、嘔吐や吐き気、冷や汗、顔面蒼白、手足の冷えやしびれ、じんましん、全身発赤、顔や喉の腫れ、ゼーゼーとした喘鳴や息苦しさ、めまい、血圧低下、意識喪失といった症状がみられます。また、重い皮膚・粘膜疾患の場合は発疹、発赤、水疱、膿、皮膚のびらん、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身倦怠感が症状としてみられます。
これらの症状は初期症状ですので、症状が重くならないうちに医療機関を受診しましょう。
また、食欲不振、吐き気、発疹がみられることもあります。去痰薬を使用して痰が薄まることで、一時的ではありますが、痰の量が増えることもあります。
さらに、ほかの去痰薬を組み合わせて飲む場合にも注意が必要です。特にビソルボン®︎とムコソルバン®︎では互いの活性物質が互いの薬理作用を持つ成分に代わるため、過剰投与と同じ状態となってしまいます。去痰薬を処方されている状態で、いつもと違う医療機関を受診した場合は、現在使用している去痰薬を医師に伝えるようにしましょう。
去痰薬は気道粘液分泌促進と喀痰溶解の作用を持ち、これらの作用が痰の切れをよくし、症状を改善させていきます。去痰薬は副作用がほとんどない安全性の高い薬ではあるものの、全くないというわけではありません。副作用症状かな、と思う症状が出た際は早めに医療機関を受診しましょう、また、去痰薬を組み合わせて飲む場合、飲み合わせにも注意が必要です。自分の使用している去痰薬は、必ず医師に伝えましょう。