インスリン製剤ってどんなもの?いくつか種類があるって本当?

2019/5/24

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

インスリン製剤は糖尿病治療で使用される薬で、血糖値を安定させることなどを目的としています。この記事ではインスリン製剤の種類やインスリン自己注射の概要などを紹介します。

インスリン製剤とは

インスリンの分泌量が低下すると血糖値上昇を抑えられなくなり、血液中の血糖濃度をコントロールできない状態に陥ります。その結果、糖尿病のリスクが上昇します。代表的な治療法であるインスリン製剤の投与は、インスリンを体外から補充して、血糖コントロールの改善を目指します

インスリン治療が必須となるケース

  • インスリン分泌が著しく低い
  • インスリン分泌が生命維持に関わるほど低い
  • 高血糖のため昏睡状態に陥っている
  • 重度の肝臓障害または腎臓障害を発症している
  • 重度の感染症や外傷がみられる
  • 中等度以上の外科手術を行う
  • 糖尿病合併妊娠または妊娠糖尿病を発症していて、かつ血糖コントロールが困難である

インスリン治療が検討されるケース

  • インスリン分泌が十分な値を満たしていない
  • 血糖値を下げる薬のみでは血糖コントロールが困難
  • 緩徐進行1型糖尿病である
  • 血糖値を上昇させる治療薬を使用している(糖尿病を除く)
  • 栄養状態が低下している痩せ型の方

インスリン製剤の種類は?

インスリン製剤には2種類(ヒトインスリン製剤インスリンアナログ製剤)に分かれます。また、インスリン製剤は薬を投与してから作用があらわれるまでにかかる作用発現時間や、薬の効果が保たれる作用持続時間で5種類に分類することもできます。

超速効型
作用発現時間:10~20分後
作用持続時間:3~5時間
そのほか:食事の直前に投与
速効型
作用発現時間:30分~1時間後
作用持続時間:5~8時間
そのほか:食前30分に投与
中間型
作用発現時間:30分~3時間後
作用持続時間:18~24時間
そのほか:中間型製剤の種類によって作用持続時間は変動する
持効型
作用持続時間:約24時間後または24時間以上後
そのほか:効果のあらわれ方に明らかなピークがなく、緩やかに働く
混合型
超速効型または速効型製剤に添加物を加えたり、中間型と組み合わせた製剤

インスリン製剤はどんなふうに行われるの?

複数あるインスリン製剤からどの薬を使用するかは、患者さんのインスリン分泌量や血糖値の状態、健康状態などを総合的に考慮して選択します。その上で投与回数、投与量を決めます。代表的なインスリン療法を紹介します。

強化インスリン療法
製剤:中間型、持効型、超速効型、速効型
特徴:インスリンの基礎分泌または追加分泌の補充が目的
投与方法:注射で1日複数回投与
持続皮下インスリン注入療法(CSII)
製剤:超速効型
特徴:適応対象は従来のインスリン治療での血糖コントロールが困難である場合など
投与方法:携帯型インスリン注入ポンプで皮下に継続的に注入
食後高血糖への療法
製剤:速効型、超速効型
特徴:インスリンの基礎分泌が比較的保たれていることが条件
投与方法:食事前に投与

飲み薬での改善が難しい場合など、治療の効果や症状の程度、ライフスタイルなどに応じて治療法は変更されることがあります。医療機関や医師に相談しながら治療を進めましょう。

インスリン製剤の使い方は?

インスリン療法で患者さんが不安に感じることのひとつが、製剤の自己注射です。インスリン注射は皮下注射(皮下組織に製剤を注入する)で行います。皮下組織は、皮膚の最も薄いところと筋肉との間にあります。

注射部位は上腕部、腹部、臀部、大腿部などです。注射による痛みを苦手とする人も多いですが、皮下注射は筋肉注射と比較すると痛みは少ないといえます。

インスリン注射の注意

投与前
  • 投与の時間帯と用量は医師の指示を必ず守る
  • 毎回必ず注射針を交換する
  • 投与前に製剤の名称を確認して行う
  • 毎回必ず空打ち(試し打ち)をして、注射器の動作などを確認する
  • 白く濁っている懸濁製剤タイプは、投与前に振って混ぜる
投与中
  • 注射部位は、2~3cmずつずらす
  • 毎回同じ部位に注射しない
  • 好ましい注射部位は体型によって異なるので、医師の指示に従う
投与後
  • 注射針を取り外してキャップを取り付ける
  • 注射器を清潔な場所で保管する

インスリン製剤は一生打たなければいけないの?

治療期間は、糖尿病のタイプによって異なります。

1型糖尿病
インスリン療法による治療継続が基本的に必須
2型糖尿病
インスリン分泌や血糖コントロールの状態によって、医師と相談の上でインスリン製剤をやめることができる。その場合、経口血糖降下薬を使用した治療に変更することなどが検討される

おわりに:インスリン製剤は、インスリンの分泌量や症状によって使い分けられます

糖尿病の治療では血糖コントロールが重要です。複数種類あるインスリン製剤から、ご自身の体調に合うものを選んでもらい、指示通りに投与しましょう。また、症状の程度や体の状態、体型の変化などが用法・用量に影響しますので、気になることがあったら医師に相談してください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

糖尿病治療薬(11) インスリン製剤(1) インスリン製剤の種類(1) インスリン製剤の使い方(1)